《停念堂閑記》147

《停念堂閑記》147

 

「停念堂寄席」」84

 

 

「帰巣本能 ?」

 

 

本日も、「停念堂閑記」に、ようこそお越し下さいました。厚く御礼申し上げます。 

せっかくお越し下さいましたが、ここでの話は、相も変わらぬ、毎度の代わり映えのしない、アホくさい、バカバカしい、クダラないと言う三拍子を兼ね備えた、行き当たりバッタリの、要するに間抜けな話で御座います。

深刻にならないところが、取り得ですよ。

夜、眠れなくなったりしませんからね。

すぐに忘れちゃっても、なんら問題は御座いませんよ。

 

なんちゅったって、目的がヒマ潰しですからね。

あるお方が申しておられましたよ。

ヒマ潰しにやることは、須(すべか)らくアホくさいものだと。

まさにその通りで御座いますな。間違いおまへん。

ところが、このアホくさい中から、凄い事が産まれる場合があるんだってさ。ものすごくマレにね。

しかし、アホくさい事は、紛れもなく殆どアホくさい事なんだそうですだよ。

間違い御座いません。《停念堂閑記》がそれを証明している代表的なものですだ。

 

定年後の御同輩、きっと、持て余しているのでは。

毎日のヒマを。

お互いに、持て余しているヒマを、なんとか、あの手、この手で潰さなくては、ならないのですよ。

しかしですね。これは、これで、なかなか。ケッコウ手間隙かかるのですよ。

手間隙かからなかったら、ヒマ潰しにならないだろうって、ですか。

その通り。至極、ご尤もなご意見で御座います。同感、同感で御座いますよ。

 

と言うことで、本日も張り切って、手間隙を惜しまず、たっぷり手間隙をかけて、連日のヒマと言う強敵に挑むことに致しましょう。

 

打倒! ヒマーッ!!

A A O!  エイエイ、オー!!

ヒマ潰しとは、申せ、些か次元の低い、掛け声でんなー。

情けねー! トホホ。

 

 

毎度バカバカしい話で、しばしのヒマ潰しにお付き合い下さいませ。

 

 

《さて、今日も御隠居の処で、ヒマ潰しといくか。しかし、今日からは、これまでとは、若干様子が変わるな。「御隠居いるかい。」ってな訳には行かなくなったな。御隠居、防犯システムとやらを取っつけたからな。行ったら、まず、このカードを門に取り付けたカメラにかざす様にと言う事だな。あとは、案内の声に従う様に、と言う事だな。このカードを忘れたら、門前払いと言う事だな。このカードを忘れてはなんねーな。

オーイ、カカー。ちょっくら御隠居の処へ行って来るぜー。》

<アイよー。どうぞごゆっくり行っといで。帰って来なくてもいーから。>

《いちいち憎ったらしい事を言いやがるね。帰って来なくてもいーよ、だってよ。直ぐに迎えに来るくせに。

 

おっ、着いたね。このカメラだな。へいへい、カードをこうかざせば、いーのだな。六さん専用のカードですだよ。》

〝これは、六さん初めまして。御隠居ご指名のAIです。以後よろしく付き合いをお願いしますよ。〟

《左様で。こちらこそよろしくお願いしますだよ。》

〝それでは早速ですが。六さん。手始めに、小話を一つ作って下さい。一定の水準に達していると判断される場合は、門の錠が開きます。達していない駄作の場合は、開錠致しませんよ。時間は、3分間です。

それでは、はじめ。2分59秒、58秒、57秒。早く作らないと時間切れになりますよ。〟

《キヘー。そう来るのかよ。一方的に。こっちの都合は無視かよ。こっちにも、心の準備と言うものがあるだぞ。それを一方的に、甚だ遺憾に存じますだぞ。ホントに。》

〝ぶつぶつ言っている間に、時間が経過してますよ。トットとやってはいかがですか。〟

《オイ、AI、気軽に、トットとなどと。よく言うな。オイ。》

〝残り時間、あと2分です。〟

《ナメんなよ。AI。やってやろうじゃねーか。とは言うものの、いきなりだからなー。とりあえず、参ったね。ホントに。

小話と言うのは、

「空き地に、囲いができたんだってねー。へー。」と言う奴だな。

まず、最初に、テーマを絞らなくてはな。漠然とやってはナンねーぞ。まてよ。とすると、オラの最も関心の高いのは、何と言っても食い物だな。それから、小話となると、やっぱりダジャレ抜きでは話にならねーな。とすると、食い物とダジャレのコラボと言うことになるな。

と方向が決まれば、もー、こっちのものだな。》

〝残り1分半です。お手上げですか。〟

《しゃらくせー、1分半あれば小話の二つや三つ、お茶の子さいさいてなもんよ。》

〝左様でございますか。では、どうぞ。秀作を期待してますよ。〟

《何を気楽なことを。並でいーの。並が一番。ただし寿司は特上に限るな。御隠居の処にくる目的は、特上に有り付く事だからな。

さて、好きな食い物とくれば、やっぱり肉かな。肉とくれば、牛、豚、トリと言った辺りが一般的だな。もともとみんな家畜だな。かわいそうにな。たまたま旨い肉だったので、人間の食い物にされちゃってさ。生まれてきた時には、よもや人間に食われちゃうとは思わなかったろうにね。不運と言うほかないのかね。お気の毒に。

牛、豚、トリ肉は、一般的すぎるな。

待てよ。家畜と言えば、羊、馬もいるな。羊は、ジンギスカンだな。ジンギスカンと言えば、北海道を置いて外にないな。北海道のジンギスカンのダジャレ小話は、もう、簡潔、明瞭に、「そろそろ、桜が咲くな。花見と言えば、ジンギスカンだな。花見のジンギスカンは、ナマラうメーぞ。」をおいて他は浮かばないな。

因みに、「ナマラ」は、北海道の方言。日頃の聞き慣れた表現では、「メッチャ」に当たるかなー。「物凄く」の意味ですだよ。

更に、因みに、旨いことを「うメーぞ」としたのは、「メー」は羊の鳴き声だから。ジンギスカンは羊の肉だから、ダジャレでは、このようになるのですですだよ。ダジャレの基本だな。超親切でんなー。解説付きのダジャレなんて。泣けて来るー。》

〝「そろそろ、桜が咲くな。花見と言えば、ジンギスカンだな。花見のジンギスカンは、ナマラうメーぞ。」が、お答えと言うことですか。〟

《ナンの。これは、小手調べの前菜だよ。メイン料理はこれからですだよ。

メインは、馬肉料理で行くとするベーか。

「熊本で、知り合いに桜鍋を奢ってもらったよ。ナマラウマかったー。」これは、簡単明瞭、解説不要ですだべ。》

〝これがお答えと言うことで良いですね。〟

《慌てるでねー、慌てるでねー。デザートがあるだよ。

ジンギスカン、桜鍋と、味の濃いのが続いたから、お口直しに、酸っぱいものでも、いかがですかってか。

いーね。オラ子供の頃から酸っぱいものがデー好きだよ。

そでは、どうぞ。お召し上がりくだせーってか。

そんじゃー、遠慮なくいただくべ。

おー、スッペー。

スッペーけど、ウメー。」

これも、わかり良いから、解説は不要ですだな」

こんなところで、どーですだ。AIさんよ。》

〝ハイハイ、分かりました。〟

《ハイは一回でいーだよ。本当に、わかったのかねー。ジンギスカンも桜鍋も梅干も、旨いで、統一したあたりも、見逃してはナンねーぞよ。》

〝ハイハイ、言われずとも、それくらいの事は、分かっておりますよ。余計な解説は、興ざめで、減点となりますよ。〟

《ハイは、一回でいーつーの。マッタく。》

〝まー、最初ですから、いずれも低レベルですが、1話20点として、3話だから合計60点と言ったところです。ギリギリの合格とします。おおまけで開錠とします。

さー、トットと入られよ。〟

《何がトットとだよ。とんだ手間を取らせやがって。

 

御隠居。お待たせ致しやした。六さん、参上でやすだよ。》

『いらっしゃい、六さん。今日もお元気そうで、なによりですねー。』

《へー、それだけが取り柄でして。》

『私も、お医者様と薬には、随分長い間お世話になってませんね

ところで六さん。今日のお目当ては何ですか。何か、仕込んで来たのでしょー。ヒマ潰しの材料を。』

《おっと、そー来やしたか。ナンたって、特上、特上ですだよ。》

『何かおっしゃいましたか。六さん。』

《イヤイヤ、独り言。独り言。気にしねーでくだせー。

御隠居、突然でやすが、今日は「帰巣本能」とやらについて、ちょっと御指南をと思いやしてね。》

『「帰巣本能」ですかー。なんでまた「帰巣本能」なんて事を気に留める事になったのですか。』

《へー。参議院選挙が近付いてきやしたので、チョツト気になりやしてね。》

参議院選挙と帰巣本能の取り合せですか。これはまた、突飛な組み合わせですねー。まさか、この組み合せの小話を、と言うのではないでしょうね。』

《そう言われれば、そんなところかも知れねーだな。さすがは、御隠居、いきなり核心にブスーっと来やすね。

参院選 立候補者と投票者の心は なーんだ と問われたら それは きっとキソウ本能かもねー」 と言うのは、どうですべか。御隠居。」》

『核心にブスーっとが、「参院選 立候補者と投票者の心は なーんだ と問われたら それは きっとキソウ本能かもねー」と言うのが、六さん作の小話ですか。これは難解ですねー。よくは分かりませんが、六さんの今日のヒマ潰しの筋書きが、何となく現れているようですね。』

《筋書きなんて、そんな上等なものではありゃーしませんが、ちっと、気になったもんでね。帰巣本能とやらのことをちょっと伺いたい、と言う次第でやすよ。ほんの要点だけを、チョコチョコとで良いですだよ。》

『なんだか事情が判り兼ねますが、取り敢えず、帰巣本能の概念的なことについての理解と言うことになりますかね。』

《そうでやす。そうでやす。まずは、その概念とやらをかいつまんで、チャチャっとおねげーしますだよ。御隠居。》

『チャチャっとねー。この手の概念は、中々説明が難儀なのですよ。分かったようで、分からないようで、手こずるのですよ。』

《御隠居。前置きは程々にして、核心の部分を、チャチャと頼みますよ。》

『では、ご注文通りチャチャと参りますか。』

《待ってました。参りやしょう。参りやしょう。》

『六さん。全く調子のいいこと。

それでは、帰巣本能について、通常の概念はと言いますと、一般的には、動物が生まれ育った所から離れた知らない所からでも、生まれ育った所に帰ってくる事ができる本能、と言った理解のされ方がなされているようですよ。はい、これで完了ですよ。六さん。』

《御隠居。これではあまりにも愛想なしですだよ。もうちょっと、御隠居らしく、四の五のをやってくだせーよ。》

『だって、六さんの注文は、要点をチャチャっと、と言う事ででしょ。』

《だから、そのチャチャっと、四の五のをと言うわけですだよ。特上に関わるかも知れねーだから。》

『六さん、なんですか。その特上と言うのは。』

《大した事ではねーですよ。その特上の四の五をと言う次第ですだよ。》

『四の五のに特上とか並とか、ランクがあるのですかね。

まー、要するに、帰巣本能の内容を、どのように理解、と言うか認識するか、と言うことについて、問題がありそうですね。

すなわち、本能と言う事ですから、生を得て後に経験したり、学習したりしたものではなく、生まれつき備わっている能力である、と言う点が大事ですね。』

《誰かに教わったり、自分で考えついたりした事ではなく、兎に角、知っているとか、できると言う事が、本能と呼ばれているものだちゅう事ですだな。その本能の一つに、自分の生まれた巣に帰って来れるっちゅうのが、帰巣本能ちゅうわけだな。御隠居。》

『概ね、そう言う事ではないでしょうか。』

《とすると、伝書バトは、そう言う能力があるちゅう事だな。御隠居。》

『まー、そう言う事なのでしょうね。』

《と言う事は、どんなに遠くからでも、伝書バトは、元の巣に帰ってくる事が出来るちゅう事ですだな。》

『まー、そう言う事なのでしょうね。』

《とすると、北極点に巣のある伝書バトを、南極点に持っていって、放したら、北極点の我が巣に帰ってくる事が出来るちゅう事だな。御隠居。》

『帰巣本能からすれば、そう言う事になるかと思われますが、その本能にも限界と言うものもあるのではないのでしょうか。例えば、蜜蜂も帰巣本能があるとよく言われているようですが、どうなのでしょうね。例えば、蜜蜂は、蜂屋さんが同じ型の巣箱を幾つも多数並べて、養蜂業をしていますが、蜂は蜜を取りに出かけても、必ず自分の居た巣箱を間違えずに戻ってくる、と言われていますが、蜂が飛び立った後で、その巣箱をかなり遠くに移動させた場合、ちゃんと戻ってくるのでしょうかね。この場合、移動の距離が問題となったりするのですかね。また、蜂が留守の間に、こっそりと巣箱の色を変えてみたり、形を変えてみたりすると、どうなりますかね。まー、実験して見れば分かる事でしょうが、きっと、私が知らないだけで、この種の研究はやられているのでしょうね。

それから、蜂の場合は、自己の活動範囲を経験的に覚える事が出来、自己が出かけた先からは、経験的に得た知識で戻って来れると言う事情があるのかも知れませんね。そうすると、どこまでが本能によるもので、どこからが自己が得た知識によるのか、その見極めは、難しいのではないでしょうかねー。』

《いよいよ、御隠居の四の五のが登場してきただな。その調子、その調子。頼みますだよ。御隠居。》

『またまた、六さん、調子のいい事を。全く参りますね。

それから、伝書バトにせよ、蜂にせよ、自己の体力との関係があるでしょうから、距離的に無限と言うわけには行かず、車と同じく途中でガス欠になっては、動けなくなりますしね。実験で確かめようにも、これらの関係をどのように条件設定をするのか、中々難儀な点があるのでしょうね。』

《御隠居。アリンコもどうですだべ。》

『蟻も帰巣本能があるとされていますね。しかし、蟻も蜜蜂と同様ではないのでしょうか。アリンコだって、外部と遮断された状況で、10キロ先に持ってかれて放された場合、自己の巣まで帰り着く事ができますかね。』

《御隠居。人間の場合はどうですだべ。》

『人間ですか。それなら、六さんが御自分で、実験してみてはいかがですか。身を以て、分かるのではないですか。』

《とすると、クマの野郎は、スゲーな。酔っ払って、グデングデン、べロべロになっちまっても、何とかかんとか自分の家には辿り着くだよ。クマの帰巣本能はすげーな。ねー、御隠居。》

『それは、すごいですね。』

《ところで、御隠居。動物は、なんで帰巣本能を持つ事になったんだべな。》

『エーッ、シャーシャーとそんな難しい事をよく聞いてきますね。六さん。そんな事、全く知りませんよ。全然分かりませんね。知ってる訳ないでしょー。

まー、思い付きのいい加減な事を言えば、きっと、きっときっと、大昔のまだ昔の動物が動物たる格好になり始めた頃は、その動物は生を受けた環境が、生きていくのに、最も具合が良かった事情があったのではないのでしょうか。きっと、その動物にとって、その生命を維持し、増やしていくには、帰巣本能がなくてはならなかったのではないのでしょうか。

答えになっていませんが。確かな事は、知りませんね。

こんなところでどうでしょうか。六さん。』

《なるほどねー。これが、御隠居の四の五のの結論と言うところですかねー。》

 

『ところで、六さん。はじめに言っておられた帰巣本能と参議院選挙がどうのこうのと言う点は、解決されたのですか。』

《そーですだ。そーですだ。これを忘れては、特上に届かねーだよな。》

『六さん、何ですかそれは。』

《いやいや、なんでもござんせん。単なる独り言ですだよ。へー。

ところで、御隠居。今度の参議院選挙の結果予想はどんなもんかねー。》

『どうですかねー。選挙は、票を開けてみるまで、分かりませんからね。』

《そーですだよ。しかし、今までの選挙結果の多くの場合は、あまり大きな変化が見られない場合が、多くはねーですか。特に、近年は。》

『そーですね。余程の事が無ければ、大した変化はありませんね。その意味では、今回もあまり大きな変化は無いような気がしますねー。』

《御隠居もそうですかや。アッシもそんな気がしますだよ。どーしてそーなるのだか考えてみただよ。そしたら、これはひょっとすると、帰巣本能と無関係では無いような気がしただよ。》

『おっと、そーきましたか。と言う事はどう言う事でしょうね。』

《御隠居は、動物は、生まれ育った所が、生きていく上で、何かと具合が良いので、帰巣本能が、備わったのでは無いのか、と言っただよな。とすれば、選挙の場合も、元の状況が余程の事が無ければ、慣れ親しんだ元の状況が良い、と言う人が多いのではねーだか、と言う事ですだよ。

そこで、ヒョッコリ帰巣本能と選挙行為となんぞ関わり合いがあるのでは、と言う気がしただよ。御隠居。》

『ウーム。なるほどね。ひょっとしたら、ひょっとして、そーかも知れませんなー。全てがと言う事はないでしょうが、大勢としては、そのような事のようにも、見えますね。閃きましたね。六さん。』

《そーですだべ。御隠居。例えば、大きな災害にあった場合、大抵、1日も早く元に戻して欲しい、と皆んな口を揃えて言うだよ。そんなに、元の状態が良かったのか、と言うと、そうではねーだよな。道路がどーとか、水道がどーとか、何がどーとか、不満ばかり言っていた人が、すごく多くいたのに、とにかく元の状態に復して欲しいと、口を揃えるだよ。ちょっと、おかしくねーだか。御隠居。

これが、選挙前には、政治について、あーだ、こーだと批判的な事を言っていた人が沢山いたと思われるけんど、所が現実的には、何回選挙をやっても、選挙前と大して異なる結果とはならないだよ。

多分現在の日本の多くの人々の傾向はこのようだ、と思われるだよ。

これはどーしてだ、と言うと、どうも、帰巣本能が心の根底に潜んでいる事が、関係しているのではねーだか、と思われるだよ。

選挙の投票の時、この潜在の本能が、むくむくと現れるだよ。だから、現状を大きく変えるような判断は、姿を表さねーんだよな。これまで通りが住み易いと感ずるのですだよ。

この本能が心の根底に潜んでいるとすれば、これは本能であるから、これを変えるには、大げさに言えば本能との勝負と言うことになるだから、これは、中々テーへんなことですだよ。

 

だから、野党は苦戦になり易いのでねーべか、と思うだよ。どーですだべ。御隠居。》

『そーかも知れませんね。現在の日本人の傾向は、中々大きな改革には、諸手を挙げて賛成する事はないように見えますね。手間暇かけて大金を使って選挙を重ねても、あまり変わりはしないようですなー。』

《実に、「ウサギ追いしかの山 コブナ釣りしかの川」が何時も何時も、心の底に潜んでいるようですだな。御隠居。》

『そーかも知れませんね。それで、今日のヒマ潰しの結論は、「参院選 立候補者と投票者の心は なーんだ と問われたら それは きっとキソウ本能かもねー」と、言う小話になるのですね。きっと、立候補者の方のキソウの心は、「競う」心と掛かっているのでしょうね。人間、誰しも何かにつけて競う事が好きですからね。とにかっく争って、勝ちたいと言う願望は、誰しもお持ちですからね。その勝負の影響が大きいほどファイトが沸くのでしょうね。国を動かすことに関与できる、となれば、その位置を競うのに、力が入るのでしょうね。国政選挙となると、何時も盛り上がりますからね。選挙運動の車が、やってきましたよ。この時ばかりと、どんな大ボラでも、言い放題ですからね。』

 

《御隠居。この辺りが、今回の落とし所にならない落とし所てねーでしょーかねー。ちょっと、特上の出番がないしょもねー落ちでヤンスが・・・・・。》

 

どうもお疲れ様でした。おつき合いありがとうございました。

お後がよろしいようで。

「停念堂閑記」146

《停念堂閑記》146

 

「停念堂寄席」」83

 

 

「イヤミ」

 

 

本日も、「停念堂閑記」に、ようこそお越し下さいました。厚く御礼申し上げます。 

せっかくお越し下さいましたが、ここでの話は、相も変わらぬ、毎度の代わり映えのしない、アホくさい、バカバカしい、クダラないと言う三拍子を兼ね備えた、行き当たりバッタリの、要するに間抜けな話で御座います。

深刻にならないところが、取り得ですよ。

夜、眠れなくなったりしませんからね。

すぐに忘れちゃっても、なんら問題は御座いませんよ。

 

なんちゅったって、目的がヒマ潰しですからね。

あるお方が申しておられましたよ。

ヒマ潰しにやることは、須(すべか)らくおよそアホくさいものだと。

まさにその通りで御座いますな。間違いおまへん。

ところが、このアホくさい中から、凄い事が産まれる場合があるんだってさ。ものすごくタマにね。

しかし、アホくさい事は、紛れもなく殆どアホくさい事なんだそうですだよ。

間違い御座いません。《停念堂閑記》がそれを証明している代表的なものですだ。

 

定年後の御同輩、きっと、持て余しているのでは。

毎日のヒマを。

お互いに、持て余しているヒマを、なんとか、あの手、この手で潰さなくては、ならないのですよ。

しかしですね。これは、これで、なかなか。ケッコウ手間隙かかるのですよ。

手間隙かからなかったら、ヒマ潰しにならないだろうって、ですか。

その通り。至極、ご尤もなご意見で御座います。同感、同感で御座いますよ。

 

と言うことで、本日も張り切って、手間隙を惜しまず、たっぷり手間隙をかけて、連日のヒマと言う強敵に挑むことに致しましょう。

 

打倒、閑、暇、ひま、ヒマーッ!

A A O!  エイエイ、オー!

ヒマ潰しとは、申せ、些か次元の低い、掛け声ですなー。

情けねー! トホホ。

 

 

毎度バカバカしい話で、しばしのヒマ潰しにお付き合い下さいませ。

 

「御隠居、今日もヒマ潰しに、来ましただよー。定刻の出勤ですだよ。」

『いらっしゃい、六さん。今日もお元気そうで、なによりですねー。』

《へー、それだけが取り柄でして。》

『私も、お医者様と薬には、随分長い間お世話になってませんねー。

実は、六さん。お待ちしてたのですよ。今日は、六さんにお伝えすることがあるのですよ。

《なんですだ。それは。》

『それはね。明日から、タイムカードを使うことにしますからね。』

《御隠居、何ですだ。それは。》

『いやね。このごろ、色々と物騒な事が起きているでは御座いませんか。ガスの検査です、なんて言って、上がり込んで強盗に変身する事件など起きているではないですか。

それで、私のところにも、防犯システを着けることにしたのですよ。』

《なるほど。御隠居のところは、年寄りだけで、無用心だからな。昼間はアッシがちょくちょく顔を出すだから、でーじょうぶだけんど、毎日毎日と言う訳には、いかねーからな。

アッシが来れねー時の対策を考えなくてはなんねーな。

それと夜間がしんぺーだな。

夜は、アッシは用事がねーだから、何だったら、泊り込み制にしてもいーだよ。》

『いえいえ、そこまではご心配いただかなくても、こちらで何とか手を打ちますから、大丈夫ですよ。』

《ところで、御隠居のつける防犯システムとは、どんなんでやんす。》

『某会社のAI防犯システムなのですが、基本的には一般的なものですが、六さんの来宅の場合は、特別のオプションをつけたのですよ。』

《アッシは、特別オプションのご厄介になるのでやんすか。御隠居。》

『これなんですよ。これ。このカードを玄関の壁に設置したカメラに、ちょいとかざして下さい。そしたら、六さんのご来宅が、リビングのモニターに映りまして、あっ、六さんだと言う事がすぐにわかるのですよ。そして、それがカードに記録されるのですよ。明日から、このカードを使って下さいね。』

《エエーッ、御隠居。そんなこと始めたのですけー。驚いたなー、モー。出欠が記録されるのですけー。》

『そうです。毎日出欠をとることにしましたよ。カードに全部記録出来ますからね。それから、これがすごい機能なのですよ。』

《御隠居、すごい機能と来やしたね。何です。それは。》

『このカードをカメラにかざすと、ドア鍵の解除に接続するのですよ。ただし、すぐには開きませんよ。このカメラは、某所のAIシステムにつながっており、そこから、解錠に必要な問題が出ますので、その問題をクリアーしなくては、ドアは開かないのですよ。』

《えーっ、問題が出て正解でないと、入る事ができないのですかい。》

『そーなんですよ。六さん。その問題を知りたいですか。』

《アッシは、テストがでーきれーですだよ。御隠居。門前払いする積りですけー。》

『それが、六さんの大好きな問題ばかりですから、ご安心くださいよ。』

《何です。それは。食い物のことですけー。御隠居。》

『いやいや、そんなのでは御座いません。それはね、お笑い関係なのですよ。AIが納得する出来栄えでしたら、すぐにドアが開きますから。』

《何でやんす。御隠居。そのお笑いとか言うのは。》

『それは明日のお楽しみ。六さんの実力を見せて下さいよ。明日は、来たらすぐにカードをカメラにかざして下さいよ。そしたら、問題が出ますから。すぐに対応して下さいよ。』

《何だか、嫌な予感がしますだなー。》

『いやいや、六さんでしたら、チョチョイのチョイですよ。楽しみですねー。』

《しかし、来る人、来る人に、これをやるんですかい。郵便配達さんにも、やるんですかい。》

『いえいえ、カードを使用するのは、六さんだけですよ。六さんとのヒマ潰しの一環ですから。』

《カードは、アッシ専用ですかい。参ったねー。》

『明日から、お願いしますよ。

ところで六さん。今日のお目当ては何ですか。何か、仕込んで来たのでしょー。ヒマ潰しの材料を。』

《おっと、そーでやした。御隠居、今日は「イヤミ」について、ちょっと御指南をと思いやしてね。》

『「イヤミ」ですかー。シェー!ですね。何か気に掛かる事が御座いましたか。』

《いや、そんなてーした事ではねーのですがね。内のカカーがね。時々チクリチクリと「イヤミ」を言いやがるのですだよ。何で「イヤミ」を言いたくなるのでやんすかね。》

『それは六さん、私に聞くより、奥様に聞いた方が早いのではないですか。』

《御隠居。それができるくれーなら、アッシだって、御隠居に相談に来たりしねーだよ。ここのところが中々問題でして。》

『色々と御事情がおありですよね。人それぞれみんな特有の事情がありますからね。事情があるのは、特に珍しいことでは御座いませんよ。六さんも、そんなに気する事はありませんよ。』

《いや、てーして気にしているわけではねーですだよ。ただね、人間は、どーして「イヤミ」を言いたくなるのかなーと、ふと思ったのですだよ。》

『六さん、それは簡単な理由ですよ。「イヤミ」を言いたくなったので言うのではないですか。』

《だから、どうして言いたくなるのかちゅうことですだよ。御隠居。》

『だから、言いたくなるからですよ。六さん。』

《御隠居。頼みますよ。これではいつ迄経ったも、キリがねーだよ。その、簡単に言っちめーば、御隠居のいつもの、それ屁理屈ではねーな。ちょっと、理屈ぽい匂いのするヤツですだよ。その辺りをおねげーしやすよ。ダジャレっぽくていーだから。》

『匂いのついた理屈ですか。それは、屁理屈ではないですか。六さん。』

《御隠居。気を悪くしねーで下せーよ。屁理屈ではねーですだよ。何と言えばいーかと言うと、そーだなー、それらしきもっともな説明とでも言えばいーだかな。》

『らしき説明ですか。六さん。』

《御隠居。頼みますよ。チョコチョコっとでいーだから、どうして、「イヤミ」を言いたくなるのか、そのあたりのことを、御隠居らしく、アッシに分かるように、説明して欲しいと言うことですだよ。》

『六さん。あなたチョコチョコっとなんて、気軽に言いますが、この手のことは、これで中々難しいのですよ。私は、心理学を勉強して来た訳では御座いませんから、人の心の中のことなど、分かりませんよ。』

《そこを何とか、チョコチョコと、と言うことですだよ。そーだ、ヒマ潰しだよ。ヒマ潰し。ヒマ潰し話と言うことでどーですた。御隠居。》

『ヒマ潰しなら、私は好きですよ。何ちゅったって、これを潰さなくては、一日、退屈ですからね。』

《よし、これで決まりですだな。御隠居。》

『それでは、ヒマ潰しをしますか。どこからとっかかりましょうかね。風呂敷を広げすぎると、収拾がつかなくなってしまうので、狭い意味の「イヤミ」限定で行きましょうか。』

《行きやしょー、行きやしょー。ドンドン行きやしょー。御隠居。》

『六さん、あなた中々調子がいーですね。参ったね。ホント。それでは参りましょうか。』

《行ってらっしゃいませ。御隠居。》

『それでは、手っ取り早く「イヤミ」とは何か。と言う辺りから参りますかね。』

《御隠居。それなら、アッシ知ってるだよ。「イヤミ」。出っ歯で、ピンクの洋服を着て、「シェー!」ってやる人ですだよ。》

『そー来ましたか。それでは、一応おつき合いで、私も「シェー!」と行きますよ。』

《御隠居もおつき合いがいーだな。じゃあ、アッシも「シェー!」》

『お互い、ヒマ潰しには、これに限りますなー。』

《皆さんも、ご一緒に「シェー!」》

『キリがありませんよ。六さん。

「イヤミ」は、言うまでもなく、相手に不愉快な思いをさせる言動のことですよ。』

《それっくれーは、アッシも知ってるだよ。いつもやられてるから。問題は、「イヤミ」が何処からやって来るのかちゅーことですだよ。その辺りを、御隠居、おねげーしますだよ。》

『それはね。六さん。「欲望心」からくるのですよ。きっと。』

《エッ、「欲望心」でやんすか。何処にあるだよ。御隠居。》

『何処にあると思いますか。六さん。』

《それは、えーと、そうだ、山の彼方の空遠くから来るのではねーですか。御隠居。》

『それは、「イヤミ」ではなくて、幸いでしょー。

でも、幸い、すなわち「幸福」も「イヤミ」も同じところから来ると言う事ですかね。』

《エー、「イヤミ」と「幸福」が、同居してるんですかえ。御隠居。》

『まー、そう言う事でしょうね。「イヤミ」と「幸福」だけではなく、まとめると喜怒哀楽、好き嫌いに通じるものは、みんな同じところにあるようですね。』

《何処です。それは。御隠居、チャッチャッと教えて下せーよ。》

『チャッチャッとですか。これは、きっと、人の心の中にあるのですよ。』

《エーッ、人の心の中にでやんすか。

と言うとアッシの心にもあると言う事ですけー。とすると、どの辺りですだ。この辺りでやんすかねー。御隠居。》

『この辺りって、六さんは、そこはヘソではありませんか。ヘソに心を蓄えているのですか。』

《それもそーだな。ヘソは、ゴマの貯蔵所だからな。心が入る余地はねーか。ねー、御隠居。》

『そーでも無いみたいですよ。

例えば、相手の腹を見抜くなどと言いますから、腹に本心があるのかも知れませんよ。』

《御隠居、間違わねーで下せーよ。アッシは、腹とは言ってねーだよ。アッシが言ったのは、ヘソ。ヘソですだよ。だから、ヘソに心はねーだよ。あるのはゴマだけですだよ。》

『へーそーでしたか。』

《御隠居。そーゆーレベルの低いダジャレは、品格を疑われるだよ。》

『それでは、六さんの心は、結局、何処にあるのですか。』

《何処にあるかは、アッシが御隠居に尋ねているところですだよ。ヘソでねー事は明らかだな。とすれば、ココラへんかなー。》

『今度は、胸ですか。まさか、ココロ辺かなー、なんて言うつもりでは無いでしょうね。』

《またまた、御隠居。そーゆーレベルの低いダジャレは、品格を疑われると言ったばかりだよ。御隠居も、お疲れのようなので、ココラでちょっくら休憩と行きますだか。》

『それそれ、六さんだって、そんなダジャレを。品格を疑われますよ。』

《ダジャレをやってても埒があかねーな。御隠居。そろそろ何処にあるのか、教えて下せーよ。》

『そんな事は、私には分かりませんよ。

それぞれが、腹にしまってあると思う人は、腹にあるのでしょうし、胸に忍ばせていると思う人は、胸にあると思っていれば良いのでは無いのですか。

結局は、感情も思考も脳の管轄するところと了解すれば、頭にある、と言うことになるのではないですか。

六さん、オーノー! なんて言わないでしょうね。』

《御隠居、先回りして言ってしまってはダメですだよ。ここは、アッシの番だったのに。先に言われてしまった。オーノー!》

『手遅れですよ。早い者勝ちですからね。ダジャレは。』

《結局は、心が人間の体の何処にあるのか、と言うことを探ろうとする事は、あまり意味がねーと言う事だか。》

『そう言う事でしょうかね。要するに、人には心があると言うぐらいのことで良いのではないですか。

六さんの関心事からすれば、「イヤミ」は心の何処にあるのか、と言うことになるのではないのですか。』

《さすが、御隠居、マトを得てますだよ。その通りですだよ。》

『と言う事は、心の構造と言うことになりますかね。六さん。』

《御隠居、そう言う難しいことになると、それは、すぐさま睡眠薬となり、アッシの脳は、オーノー! となりますだよ。》

『そのダジャレはやったばかりですよ。ノーカウントですよ。』

《御隠居、ダジャレはいーだから、分かりやすくおねげーしやすよ。》

『よくは分かりませんよ。人には心があり、その心には欲望があるのですよ。きっと。

そして、その欲望は、その人その人によって、色々な要素からなっているのですよ。

例えば、金持ちになりたい、かっこ良い洋服を欲しい、美味いものを食べたい、立派な家に住みたい、高級車が欲しい、と言うような物質を手に入れたいと言う欲求の他に、博識と言われる人になりたい、偉くなって人の上に立ちたい、他人から尊敬されたい、ものすごく有用なこと成し遂げたい、何事も他人より優位に立ちたい、あるいはスポーツですごい記録を作りたい、とか色々な欲求がありますね。

それらの中に、他人を見下したいと言うような、ちょっとヘソの曲がったのもあるのですよ。

すなわち、自分の欲求の実現や好みに反すると判断されることを排除したい、小言を言ってやりたい、と言うような欲求があるのですね。

その場合、排除する行為が、色々とあると思われますが、その一つとして、現れるのが、邪魔になると言う対象に向かって、「イヤミ」なことをする、と言う行為が出現するのでは無いのか、と思われるのですよ。』

《なるほど、要するに「イヤミ」をすることも、一つの欲求と言うわけですだな。御隠居。》

『そーだと思いますね。

ただですね。自分の欲求の実現に、邪魔になると判断される対象に、「イヤミ」なことをして、あーサッパリしたと感じる人と、そうではなく、あんな「イヤミ」やらなきゃよかったと自己嫌悪に陥っしまう人もいたりするのですよ。

それから、そもそも「イヤミ」を実行する以前に、ブレーキをかけてしまい、実際には「イヤミ」をやらず仕舞いにしてしまう人もいますね。

個々人の性格によるところでしょうね。』

《御隠居。人の性格によって、違うと言うことでやすか。》

『そのように思われますねー。例えば、人の性格は、好き嫌いに現れやすいですよね。

ここの話題の「イヤミ」に関して言えば、「イヤミ」をやるのが好きな人、と嫌いな人がいますよ。』

《アッシのところのカカーは、どっちかと言うと、好きな性格だな。アッシはいつも、その餌食になってますだよ。御隠居。》

『餌食にですか。そんな事はないでしょー。いー奥様では御座いませんか。六さん。』

《まー、あれで、いーとこもあるだよ。パチンコの玉だけぶつけなければね。》

『パチンコの玉、まだ残っているのですか。あれは効きますよね。』

《あのパチンコ玉の「イヤミ」はどこからくるのですかねー。御隠居。》

『それは、六さんがパチンコ玉など、持ち帰ってきたからですよ。それも、節分に。だから、六は外と、やられちゃうんですよ。』

《今年の豆撒きはパチンコ玉撒きになってしまったからな。

と言うと、「イヤミ」の好きな人と、嫌いな人がいるとなると、その違いはどこからくるのですだ。御隠居。》

『また、小難しいことを持ち出しますね。六さん。

それは、きっと、生まれた時から持ち合わせているのですよ。そして、それに、成長するに従って、環境から得るものもあって、結局、その結果、「イヤミ」好き、と思われる性格になるのではないのでしょうか。』

《人は、気に食わない奴に「イヤミ」をやったら、気持ちがサッパリするのですかね。御隠居。》

『それは人それぞれではないですか。

それ、今しょっちゅう話題となっている、車の運転の、それ煽り運転、あれなどは典型的な「イヤミ」とも思えますね。ちょっと割り込まれたりすると、それだけでカチーンとくる人と、さして気に止めない人がいるでしょ。カチーンとくるタイプの人は、煽ったりする「イヤミ」な行動に出やすいですよね。その時は、やり返してやったと言う満足感を得られるのではないのでしょうかね。「イヤミ」はやる人が満足するかどうかだけですからね。』

煽り運転で、警察に捕まって、なんで煽ったかと、尋ねられると、運転マナーが悪い奴だったので、注意するつもりでやった、などと言っている人が多いようですだが、あれはやっぱり、注意する行為ではないですだよなー。気に食わなかった奴にする「イヤミ」に見えるだよなー。御隠居。》

『そーですね。大体はそーではないかと思われますねー。日常生活で、マナーの悪い人を見かけたからと言って、その都度いちいち注意する行為に出る人は、現実には稀ですよね。

煽り運転する人が、運転以外でマナーの悪い人を見かけたら、こまめに注意を促すかと言うと、そのような事は、中々見かけませんよ。運転に関してだけ、注意をしたくなると言うのは、不自然ですよね。煽り運転は、やっぱり「イヤミ」に属するようですね。』

《まー、気に食わねー奴にやるのが「イヤミ」と言う奴ですだなー。御隠居。》

『そうだと思いますね。六さんは、どうですか。』

《アッシですかい。気に食わない奴に「イヤミ」やりてーとは、思っても、その100分の1も、実際にはしねーだよ。グッと我慢の子ですだよ。御隠居。》

『100分の1もですか。6分の1ほどでは御座いませんか。』

《アッシが六だから、6分の1ですかえ。御隠居。安易過ぎますだよ。ダジャレにもなってませんだよ。せめて、六三分の1とか、なんとか格好つけて下せーよ。》

『なんですか。六三分の1と言うのは。』

《だって、御隠居はいつも六さんと言うではねーですか。》

『それだったら、18分の1でも良いでは無いですか。六さん。これで、格好がつきますかねー。』

《6分の1よりはマシですだよ。》

『いずれにしても、大して変わりませんな。』

《シェー!、と言うとこですだな。》

『六さん、ここでシェー!をやってしまいますか。』

《ここでは、具合よくなかっただか。御隠居。》

『最後のオチにとっておきたかったのですよ。六さん。』

《そーか。それは悪かったですだ。

とすると、今回も、オチなしですだか。》

『そのようですよ。六さん。』

 

《だそーです。お疲れさんでゴゼーヤした。

シェー!》

 

お後がよろしいようで

「停念堂閑記」145

《停念堂閑記》145

 

「停念堂寄席」」82

 

「欲張り」

 

 

本日も、「停念堂閑記」に、ようこそお越し下さいました。厚く御礼申し上げます。 

せっかくお越し下さいましたが、ここでの話は、相も変わらぬ、毎度の代わり映えのしない、アホくさい、バカバカしい、クダラないと言う三拍子を兼ね備えた、行き当たりバッタリの、要するに間抜けな話で御座います。

深刻にならないところが、取り得ですよ。

夜、眠れなくなったりしませんからね。

もー、すぐに忘れちゃっても、なんら問題は御座いませんよ。

 

なんちゅったって、目的がヒマ潰しですからね。

あるお方が申しておられましたよ。

ヒマ潰しにすることは、須(すべか)らくおよそアホくさいものだと。

まさにその通りで御座いますな。間違いおまへん。

ところが、このアホくさい中から、凄い事が産まれる場合があるんだってさ。ものすごくタマにね。

しかし、アホくさい事は、紛れもなく殆どアホくさい事なんだそうですだよ。

間違い御座いません。《停念堂閑記》がそれを証明している代表的なものですだ。

 

定年後の御同輩、きっと、持て余しているのでは。

毎日のヒマを。

お互いに、持て余しているヒマを、なんとか、あの手、この手で潰さなくては、ならないのですよ。

しかしですね。これは、これで、なかなか。ケッコウ手間隙かかるのですよ。

手間隙かからなかったら、ヒマ潰しにならないだろうって、ですか。

その通り。至極、ご尤もなご意見で御座います。同感、同感で御座いますよ。

 

と言うことで、本日も張り切って、手間隙を惜しまず、たっぷり手間隙をかけて、連日のヒマと言う強敵に挑むことに致しましょう。

 

打倒、閑、暇、ひま、ヒマーッ!

A A O!  エイエイ、オー!

ヒマ潰しとは、申せ、些か次元の低い、掛け声ですなー。

情けねー! トホホ。

 

 

毎度バカバカしい話で、しばしのヒマ潰しにお付き合い下さいませ。

ところで、この「バカバカしい」と言うのは、何を基準として、ここからこっちはバカバカしい、ここからあっちは、バカバカしくない、と判断すれば良いのか、と言う大問題が横たわっているのですよ。

対策としましてはね。「バカバカしい基準設定委員会」なるものを設置しましてね。そこで、基準を設定すると言う方法が御座いますよ。

まずは、誰を委員にするのかを決めるなくてはなりませんよ。そこで「バカバカしい基準設定委員会委員選定準備会」を設けましてね。さらに、この準備会のメンバーをどの様にして決めるかの「バカバカしい基準設定委員会委員選定準備会メンバー選定準備会」が必要になりましてね。・・・・・

実に、その準備を整えるまでの準備が切りがない事態になるのですよ。民主主義を徹底するには、中々難しいところがありますねー。

そして、見事に「バカバカしい基準設定委員会」ができましたら、その審議過程をガラス張りにして、透明性が失われてはなりませんので、常に、一般公開で議事録もキチンと残さなくてはなりませんよ。

離任する人が、その後任を裏でコソコソと決めようなんて、そんな姑息なことをやったり、また、やらせてはいけませんよ。

基準は、関わる全ての事柄の判断の基、出発点ですからね。とにかく、裏でコソコソと取り引きして、一部の者に都合の良いことを秘密裏に決めていく、いわば伝統的永田町文化の様なものを認めてはなりませんよ。

 

そして、最初の問題は、「バカバカしい基準の設定」に関わる課題が、永田町管轄のものかどうか、と言う課題が存在しますな。まずは、この点に関する審議が必要で、その機関が必要となり、この準備機関の設置に関わる必要がありましてね。この準備にまた、・・・・・・と、色々と手間暇が必要となるのですよ。

ネッ、勝ち負けがハッキリしているスポーツ界だって、決勝戦を迎えるまで、幾たびもの関門が御座いますから、基準を決めるのは大事なことで、中々難しい側面がありますね。

と言いますとね。「バカバカしい基準の設定」はどうなるのか、と言いますと、この手の事柄は、一律にコレって言うものを設定するには、馴染まない側面がある様なので、結局は、それぞれの個人が、それなりの基準を持って臨んで貰うのが、良い様に思われるのですよ。

と言うことで、「停念堂閑記」におきましては、「バカバカしい基準」は、個々人がそれぞれ持てば良い、と言うあたりで、手を打っては、と言うことにしたいと考えますので、よろしくお願い申し上げます。

とかなんとか、バカバカしいことで、幾分のヒマ潰しができましたよ。

 

さて、本日のバカバカしい話のネタには、「欲張り」と言うのを持ってきましたよ。

 

では、ヒマ潰し、参りますよ。

 

「御隠居。いらっしゃいますか。」

『六さん。お待ちしておりましたよ。』

「いやね。アッシは、今日はものすごく良い天気なもんで、ひょっとしたら、御隠居、お出かけかなー。なんて、思っておりやしたら、留守でなくて、よかったですだ。」

『今日は、天気も良いし、六さんも元気いっぱいのようで、結構な日ですなー。』

「いやいや、そーでもねーですだよ。これで、アッシもいろいろこぜーやして。」

『なんです。六さん。 なんぞ悩み事ですか。』

「いやー、そんな深刻な事ではねーですだ。

何時ものことですだよ。その、カカーとでやすね。

朝から、一戦交えましただよ。

今日は、まー、引き分けと言ったところでして。」

『引き分けですか。それはよかったですね。

ご無事で何よりですよ。』

「御隠居。それはねーですよ。それでは、アッシは何時もボコボコにやられてる見てーではねーですか。」

『これはこれは、失礼いたしました。例のごとく、パチンコ玉攻撃にあってね。ボコボコに。』

「御隠居には、かなわねーな。

何ねー、些細なことで、この欲張りーと、きやしたので、お前こそー、と言い返しましてね。それであれこれと、お互いに欲張りの検証となりやしてね。なかなか決め手に欠く事態となりやして、ここは、一つ民主的に解決しょーじゃねーか、と言う事になりやしてね。投票箱と投票用紙を用意しやしてね。投票の結果、お互い1票ずつの得票で、それでもって、まー、今日のところは引き分けと言う結果でして。へー。」

『それはそれは、お二人で投票による決着を。民主的でよー御座いましたね。軍隊が介入すると、パチンコ玉が飛んできますからね。平和的に解決できて、本当によー御座いました。』

「へー、事態はなんとか、乗り切ったのでやすが、カカーと欲張りの検証をしているうちに、あれも、これも、と言う事態で、何が何だかグチャグチャになってしまいやしてね。

そもそも、欲張りってなんだか、分からなくなっちまっただよ。

それで、今日は、欲張りってどう言うことか、御隠居に教わろうと、出かけて来ましただよ。」

『まー、欲張りについてですか。これは、難しいですよ。難題ですよ。六さん。』

「へー、そんなに難しいことですかい。どの辺が難しいだよ。御隠居。」

『まずは、欲張りの判断基準が必要になりますよ。ここまでは欲張りではない。ここからが欲張りだ、と言う判断基準をはっきりさせておかなくては、欲張りかどうかの判断ができませんよ。六さん。』

「そー言われれば、そりゃーまーそうですだな。それでは、その基準とやらを、作るには、どーしたら良いだよ。御隠居。」

『対策としましてはね。「欲張り判断基準設定委員会」を設置しましてね。そこで、審議を行い基準を設定すると言う方法が御座いますよ。』

「それでは、早速その「欲張り判断基準設定委員会」を作らなくてはならねーだな。御隠居。」

『それでは、まずは、誰を委員にするのかを決めるなくてはなりませんよ。そこで「欲張り判断基準設定委員会委員選定準備会」を設けましてね。さらに、この準備会のメンバーをどの様にして決めるかの「欲張り判断基準設定委員会委員選定準備会メンバー選定準備会」が必要になりますよ。』

「御隠居。それでは、「欲張り判断基準設定委員会委員選定準備会メンバー選定準備会」を作るべ。」

『六さん。そう言いますが、「欲張り判断基準設定委員会委員選定準備会メンバー選定準備会」を作るには、その準備委員会を作る必要があるのですよ。

とにかく、その準備を整えるまでの準備が切りがない事態になるのですよ。民主主義を徹底するには、中々難しいところがありますねー。六さん。』

「御隠居。中々手間がかかりそうですだなー。」

『そして、見事に「欲張り判断基準設定委員会」ができましたら、その審議過程をガラス張りにして、透明性が失われてはなりませんので、常に、一般公開で議事録もキチンと残さなくてはなりませんよ。六さん。』

「御隠居。なんだか、似たようなことを、一度聞いたような気がしますだよ。

結局、この手の事柄は、一律にコレって言うものを設定するには、馴染まない側面がある様なので、結局は、それぞれの個人が、それなりの基準を持って臨んで貰うのが、良い様に思われるのですよ。

なんて、言いだすのではねーでしょうね。御隠居。」

『六さん。察しが良いですねー。その通り。

と言うことで、六さんはどうしますか。』

「アッシのところでは、民主主義が第一でやんすから、カカーと意見を出し合って、その上投票で決めますだよ。御隠居。」

『それで、1票対1票で、引分けですか。六さん。』

「御隠居。よくご存知で。」

『六さんのところの民主主義は、中々進展しそうにありませんな。』

「だから、御隠居に相談してるだよ。」

『相談事は、欲張りとはどう言うことか、と言う事ですよね。六さん。』

「そーですだよ。御隠居の教えを受けて、けーって、もう一度、カカーと討議の上、民主的に投票で結論を導くだよ。」

『それでは、私の独偏(独断と偏見の略語)で参りますよ。

まず、パソコンで「意味 欲張り」で検索しますと、出ましたよ。六さん。ズバリ来ましたね。「欲を張る事」だって。なんと分かり易い解説では御座いませんか。

六さん。あなた欲を張ってませんか。』

「だから、欲を張るとは、どう言うことか、と尋ねてるだよ。」

『と言うことは、「欲」とは何か、と言うことから始めなくてはなりませんよ。これは、ヨク考えなくては、ヨク分かりませんよ。六さん。』

「御隠居、ダジャレやってねーで、さっさと頼みますよ。」

『と言うことは、一応「欲とは何か検討委員会」を設置して、ここで検討しなくてはなりませんよ。そのためには、その準備委員会が必要になりますよ。六さん。』

「御隠居、それはもういーだよ。アッシとカカーの投票で、民主的に決めるだから。」

『と言うことは、1票対1票の引き分けと言う結果になりますなー。どうします。六さん。』

「だから、ここは、御隠居の独偏でいーですだよ。」

『では、独偏で行きますか。

まず、「欲」の概念を一応はっきりさせておかないと、話がもつれますね。と言いながら、この概念の形成は、すこぶる難しいようですよ。だけれど、ここは、「停念堂閑記」ですからね。身に合ったところで、まーまーの大雑把なところで、ご勘弁頂くことにしますよ。よろしいですね。六さん。』

「何でもいーだから、さっさとやって下せーよ。御隠居。ただし、堅苦しくてはなんねーだよ。小難しくなると、アッシは自動的に寝てしまうだよ。まー、良い加減でいーだから、面白、可笑しく頼みますだよ。」

『となれば、気楽でいーですなー。まー、六さんと私の間のヒマ潰しの話ですからね。』

「そーですだよ。余分な話で、かなりヒマ潰しちゃってるから、あとは、ざっとで良いーだよ。ざっとで。」

『それでは、にわか雨で行きますか。』

「御隠居、何ですだ。そのにわか雨で行くとは。」

『ザーッと、行くと言うことですよ。』

「御隠居、ダジャレですかい。そんなヒマ潰しはいーだから、ささっとおねげーしますだよ。」

『それでは、ささっと、行きますと、「欲」とは、人間誰でも持っている、色々な物・事を自分のものにしたい、と言う心のことでしょーな。』

「へーへー、「欲」とは、左様なことですけー。ヨクわかっただよ。」

『六さんだって、そんな見え見えなダジャレを。』

「御隠居は、ちょっと気を許すと、小難しい方向へ進もうとするから、ここは、止むを得ず、アッシがちょいと、ダジャレブレーキをと、これで色々と気を使ってるだよ。」

『それはどーも。お気を使わせて、申し訳御座いませんね。ただ、ダジャレを言いたかっただけでしよ。本当は。』

「御隠居、何ぞ言いましたか。」

『イヤイヤ、空耳でしょ。空耳。』

「それでは、御隠居、その「色々な物・事を自分のものにしたい、と言う心は、何処から湧いてくるのですだ。」

『六さん、そんな難しいことを気軽に聞かないで下さいよ。そんなこと、簡単に分かるわけありませんよ。

六さんの場合は、六さんの心にそのようなことが、きっとあるのですよ。』

「御隠居、そんな訳の分からねー事言わねーで、もっと分かり良く言って下せーよ。

それでは、アッシの場合は、何時からそんなことが心にあったのですだー。」

『また、そんな難しい事を。きっと、生まれた時から持っていたのではないのですか。』

「生まれた時から。気がつかなかったなー。何処に置いてあったのかなー。御隠居、何処に置いてあったと、思います?」

『そんな事、知りませんよ。二階の押入れの中がどっか、そのあたりではないですか。』

「二階の押入れね。御隠居、ではちょと探してくるだよ。」

『ちょっと、ちょっと、六さん。冗談ですよ。冗談。』

「御隠居、アッシも冗談だよ。だいたいアッシの家は、平家だよ。二階はねーだよ。」

『もー、参りましたね。

例えば、人間、十人十色と言われるように、色々な性格の人がいますよねー。その一人一人異なる性格の中に、共通で持っている性格があるでしょ。例えば、好き嫌いとかね。

「欲」はきっと、その人の持っている「好き」と言う心の中に、潜んでいるのですよ。独偏ではね。

要するに、「好き」なものは、自分のものにしたくなる心が、すなわち、「欲」と言うものではないのでしょうか。嫌いなものは、自分のものにしたいと思わないでしょ。』

「なるほど、理屈はつけようだな。」

『六さん、何か言いましたか。』

「御隠居、空耳ですだよ。空耳。年の割には、耳はいいようだな。」

『六さん、何か言いましたか。』

「御隠居、空耳ですだよ。空耳。遠い遠い、ハヤブサが土だか埃だかを取ってきた、遠い空の彼方の空耳ですだよ。」

『そんな空耳、聞いたことが御座いませんよ。六さん。』

「要するに、御隠居。「欲」は、それぞれが持っている「好き心」から発生するだな。好きな物・事を自分のものにしたい、と言うのが「欲」と言う事だな。」

『概ねそんなところでどうですか。それから、「好き心」とは別に、人間は生を受けたら、誰しも、生きていかなくてはなりませんので、行きていくために、無くてはならないものを手に入れなくてはなりませんよ。』

「と言うと、具体的にはどう言う事ですだ。御隠居。分かりやすく頼みますだよ。」

『六さん、あなたそんな事を気軽に言いますが、具体的とか分かりやすくと言うことが、一番難しいのですよ。』

「だから、そこをなんとか、御隠居の独偏で構わねーだから、ダジャレでも、屁理屈でもいーだから、アッシに分かるように、頼んでいるだよ。御隠居。」

『参りましたね。例えば、人間生きて行く上で、最も必要なものは、昔から、衣食住と言われていますよね。これが、手に入りにくいと、とにかく、生きて行くのに困る訳ですよ。これは、誰しも好き嫌いを言っていられない場合が御座いますよ。ただし、現実には、この入手にあたっても、当然のように好き嫌いが介入してくるのですよ。結局、好きなものを手に入れたがることになるのですよ。例えば、「衣」すなわち着るものだって、すぐに好みが出るでしょ。「食」すなわち食べ物だって、好みが関わってくるでしょ。「住」すなわち、家だって、あれこれと好みがあるでしょ。事情によっては、好みの度合いを言ってられない場合もありますがね。

要するに、人間誰しも生きて行くのに必要なものを手に入れたい。できれば、自分の好みにあったものを、豊富に手に入れたい、と思うのではありませんか。

物ばかりでは無くてね。カッコいいねとか、凄いねとか、何でもできるのだねとか、精神的な満足なども、手に入ればいいな、と思ったりするでしょ。

その手に入れたいと言う心が、すなわち「欲」と言うものではないのでしょうか。

このあたりで、どうでしょうかね。六さん。』

「もう一息のところまで、来ただよ。「欲」は何となくわかったような気がしますだが、これにくっついている「張り」の方は、どうなるだ。御隠居、もう一踏ん張りおねげーしますだよ。」

『また、そんなダジャレを。シャーシャーと。

「張る」ですか。これは、色々な場面でよく使われますねー。そのたびに幾分のニュアンスが変わったりしますので、ここでは「欲」にくっついた場合をみることにしますかね。

この場合の「張る」は、要するに、「広く、多く、いっぱいにする」と言った意味合いになる、と考えてはどうでしょうか。』

「早い話が、いっぱいだ、と言うことですかね。御隠居。」

『その辺りで良いのではないでしょうかね。

だから「欲」にくっついて「欲張り」となれば、「好みの物や事を手に入れたいと言う心がいっぱい」なのが、「欲張り」と言われているのではないのでしょうかね。』

 

「御隠居、どうも有難うこぜーやした。早速、家にけーって、カカーとの再戦に臨むことにしますだー。」

『六さん、あまり「欲」をだすと、嫌われますよ。ほどほどが良いですよ。』

「へー、分かりやした。いざとなったら、民主的に投票で決着をつけますだ。」

 

毎度のことですが、引っ張りはしましたが、特に、これと言ったオチは御座いません。時節柄、入試の時期ですので、落ちはつけない方が、良いのかなー、なんてね。

「停念堂寄席」の話に、なるほどと言ったオチを期待しては、いけませんよ。それは、「欲張り」と言うものです。

所詮は、気まぐれのヒマ潰しですから。

 

どうもお疲れ様で御座いました。

お後が宜しいようで。

「停念堂閑記」144

《停念堂閑記》144

 

「停念堂寄席」」81

 

「宿六」

 

 

本日も、「停念堂閑記」に、ようこそお越し下さいました。厚く御礼申し上げます。 

せっかくお越し下さいましたが、ここでの話は、相も変わらぬ、毎度の代わり映えのしない、間抜けな話で御座います。

いくぶん具体的に申しますと、アホくさい、バカバカしい、クダラないと言う三拍子を兼ね備えた、行き当たりバッタリのアホくさい、バカバカしい、クダラない、要するに間抜けな話で御座います。

深刻にならないところが、取り得ですよ。

夜、眠れなくなったりしませんからね。

もー、すぐに忘れちゃっても、なんら問題は御座いませんよ。

 

なんちゅったって、目的がヒマ潰しですからね。

あるお方が申しておられましたよ。ヒマ潰しにすることは、須らくおよそアホくさいものだと。まさにその通りで御座いますな。間違いおまへん。

ところが、このアホくさいと思われる中から、凄い事が産まれる場合があるんだってさ。すごくタマにね。

しかし、アホくさい事は、紛れもなく殆どアホくさい事なんだそうですだよ。

間違い御座いません。《停念堂閑記》がそれを証明している代表的なものですだ。

 

定年後の御同輩、きっと、持て余しているのでは。

毎日のヒマを。

お互いに、持て余しているヒマを、なんとか、あの手、この手で潰さなくては、ならないのですよ。

しかしですね。これは、これで、なかなか。ケッコウ手間隙かかるのですよ。

手間隙かからなかったら、ヒマ潰しにならないだろうって、ですか。

その通り。至極、ご尤もなご意見で御座います。同感、同感で御座いますよ。

 

と言うことで、本日も張り切って、手間隙を惜しまず、たっぷり手間隙をかけて、連日のヒマと言う強敵に挑むことに致しましょう。

 

打倒、閑、暇、ひま、ヒマーッ!

A A O!  エイエイ、オー!

ヒマ潰しとは、申せ、些か次元の低い、掛け声ですなー。

情けねー! トホホ。

 

 

毎度バカバカしい話で、しばしのヒマ潰しにお付き合い下さいませ。

そもそもは、この「バカバカしい」と言うのは、何を基準として、ここからこっちはバカバカしい、ここからあっちは、バカバカしくない、と判断すれば良いのか、と言う大問題が横たわっているのですよ。

「基準設定委員会」なるものを設置しましてね、そして、誰を委員にするのかを決める「基準設定委員選定準備会」を設けましてね。さらに、この準備会のメンバーをどの様にして決めるかの「基準設定委員会準備会メンバー選定準備会」が必要になりましてね。・・・・・

実に、限りがないのですよ。民主主義を徹底するには、中々難しいところがあるのですよ。

そして、準備委員会の審議過程をガラス張りにして、透明性が失われてはなりませんので、常に、一般公開で記録もキチンと残さなくてはなりませんよ。

離任する人が、その後任を裏でコソコソと決めようなんて、そんな姑息なことをやったり、また、やらせてはいけませんよ。

基準は、関わる全ての事柄の判断の基、出発点ですからね。とにかく、裏でコソコソと取り引きして、一部の者に都合の良いことを秘密裏に決めていく、いわば伝統的永田町文化の様なものを認めてはなりませんよ。

そして、最初の問題は、「バカバカしい基準の設定」に関わる課題が、永田町管轄のものかどうか、と言う課題が存在しますな。まずは、この点に関する審議が必要で、その機関が必要となり、この準備機関の設置に関わる必要がありましてね。この準備にまた、・・・・・・と、色々と手間暇が必要となるのですよ。

ネ、勝ち負けがハッキリしているスポーツ界だって、決勝戦を迎えるまで、幾たびもの関門が御座いますから、基準を決めるのは大事なことで、中々難しい側面がありますね。

と言いますとね。「バカバカしい基準の設定」はどうなるか、と言いますと、この手の事柄は、一律にコレって言うものを設定するには、馴染まない側面がある様なので、結局は、それぞれの個人が、それなりの基準を持って臨んで貰うのが、良い様に思われるのですよ。

と言う、ことで、「停念堂閑記」におきましては、「バカバカしい基準」は、個々人がそれぞれ持てば良い、と言うあたりで、手を打っては、と言うことにしたいと考えますので、よろしくお願い申し上げます。

とかなんとか、バカバカしいことで、幾分のヒマ潰しができましたよ。

 

さて、本日の「バカバカしい話」のネタには、「宿六」と言うのを持ってきましたよ。

 

では、ヒマ潰し、参りますよ。

 

「御隠居。おりませんか。雨が降ってますかー。」

『六さん。ちゃんとおりますよ。六さんがやって来ることは、百も承知ですから。なんです。自分が傘をさしているくせに。雨降ってますかっちゅーのは。』

「いやね、アッシは、今日は雨降りだ、と言うことは知ってますだよ。しかし、やっぱり、若輩のアッシが、雨降りだ、と勝手に決めるのは、民主主義に反しはしねーか、と思いやしてね。それで、経験豊富な御隠居の判断も、一応伺っておいた方が、後々のために、と思いやしてね。」

『なんです。今日は、ちょっと何時もとは、様子が違いますよ。何か、企んでますね。六さん。』

「いやいや、そーではねーですだよ。今日も、いたって謙虚な

六さん 十八ですだよ。」

『なんです。六さん 十八なんて。』

「いやー、単なる勢いってーやつですだよ。

それと、今日は、手土産を持参しましただよ。」

『手土産ですか。本当に、今日はどうしたのですか。雨でも降らなきゃー、って、もう、降ってますね。まー、傘をたたんで、お上り下さいよ。』

「それでは、お邪魔いたしますだ。御粗末なものでこぜーやすが、手土産ですだ。」

『これはこれは、気を遣わせてしまって。ところでこれは、なんですか。』

「御隠居のところは、まだだろうと思いやしてね。それ、駅前の和菓子屋でね。この間から、新商品を売り出しただよ。それが、この「煎餅饅頭」と「饅頭煎餅」ですだよ。御隠居、まだ、味見していねーでしょー。」

『なんです。その「煎餅饅頭」と「饅頭煎餅」と言うのは。』

「それは、何を隠そうこれですだ。まさに、「煎餅饅頭」と「饅頭煎餅」でがんしょ。」

『なるほど。どう見ても、そう書いてありますなー。

そーですなー、こちらは饅頭で、こちらは煎餅ですね。』

「へー、ちゃんと書いてあるでしょ。「煎餅饅頭」と「饅頭煎餅」。間違いごぜーませんだよ。」

『はー、ケッタイなネーミングですなー。では、せっかくですので、早速いただきましょー。

おばーさん。六さんですよ。「煎餅饅頭」と「饅頭煎餅」をいただきましたよ。お茶をお願いしますよ。』

 

 

[あーら、六さん。今日も雨の中をどうもご苦労様です。]

「お邪魔いたしますだ。今日は、ちゃんと、御隠居のとこの「ヒマ潰し許可証」を持って来ましただよ。」

[なんです。その「ヒマ潰し許可証」とか言いますのは。]

「へー、アッシのところでは、これからは、御隠居のころへヒマ潰しに出かける時は、許可制にするとカカーが言い出しましただよ。それで、「ヒマ潰し許可証」を申請して、許可が出れば、手土産代が支給されることになっただよ。

それで、今朝は、カカーが、家でゴロゴロしていないで、御隠居のところへご機嫌伺いにでも、行っといで、この宿六。ってんで、手土産代を支給されましてね。それで、早速、「煎餅饅頭」と「饅頭煎餅」となった次第ですだよ。」

[まー、「煎餅饅頭」と「饅頭煎餅」を。と言うことは、こちらとしましては、領収書を発行しなくてはなりませんね。]

「いやいや、そこまでは、大丈夫ですだよ。それっくれーは、アッシも信頼を取り付けてありますだよ。へー。」

[まー、六さんは、奥様の信用が厚いのですねー。]

「そーでもねーですだよ。熊のとこへは、中々許可が出ねーんですだよ。例の一件以来ね。パチンコには、ゼッテー許可が出ねーんですだよ。」

[そーですか。厳しいところは、厳しいのですね。角っこのお豆腐屋さんに、絹豆腐を買いに行く時はどうなんですか。]

「奥様、それはなしっこですだよ。アッシは、金輪際、絹豆腐を買いには行かねーだから。」

[まー、堅いご決心ですこと。それでは、絹豆腐を買って、途中で犬に吠えつかれ、落っことして、グチャグチャにして来て下さい、と言う依頼だったら、どうしますか。]

「奥様、勘弁して下せーよ。そんな注文する人は、いねーですだよ。」

[今度お願いしょうかしら。楽しみが一つ増えましたわ。オホホホホ。

それでは、少々お待ち下さいませ。オホホホホ。]

「御隠居、オホホホホだって。なんとかして下せーよ。」『まー、「煎餅饅頭」と「饅頭煎餅」を食べたら、考えも変わるのではないですか。ククククク。』

「もー、お二人揃って、オホホホホ、クククククなんて。参ったなー。

絹豆腐は、売り切れ。以後当分品切れですだ。売っておりませんから。」

 

『ところで、六さん、今日は、何か、他に用事があるのでは、御座いませんか。手土産から察しますところ、ダジャレれとか。六さん、得意の一枚でもセンベイ、とか、一つでもマンジュウとかさ。』

「御隠居。そんな初歩的なダジャレをやりに来たのではねーですだ。

いやねー、アッシのカカーが、アッシのことを「宿六」と言いやがるだよ。そんで、以前は、御隠居も知っての通り絹豆腐一件の前までは、アッシは、八だったけんど、その時も、「宿六」と言いやがってたのですだよ。その後、絹豆腐の一件で六になりやしてね。それからも、「宿六」と言うだよ。機嫌が悪い時は、「宿六」の六だから、あんたなんか「宿六六の三十六」だなんて、言いやがるのですだよ。」

『奥様、上手いこと言いますね。六さんよりもダジャレのセンスありますよ。』

「御隠居、そんな事で、感心しねーで下せーよ。頼みますよ。まったく。

それで、今日は、「宿六」と言うのについて、ちょいと教わろーと思いやしてね。おねげーしますだよ。」

『今日は、「宿六」と来ましたか。そーですか。奥様ではありませんが、「宿六」の六さん、十八なんて、六六 三十六なんて、ゴロが良いですね。』

「御隠居。つまらねーところで感心してねーで、早いとこ肝心の「宿六」について、やって下せーよ。」

『それでは、十八、いや六さんの御要望に答えて、ポチポチ行きましょうか。』

「御隠居。どこへ行くのですだ。犬を連れて散歩でやすか。」

『そう来ましたか。六さん。そう来られたら、ちょっと遠回りになってしまいますよ。』

「御隠居。アッシが悪かっただ。近道でおねげーしますだ。」

『それでは、直線の近道で行きますよ。

まず、「宿六」とは、妻が使う夫の呼び名の一つだと言われているようですよ。

すなわち、「家(内)にいるろくでなし」と意味に理解されているようですよ』。

「と言うことは、アッシのカカーは、アッシのことを、内(家)にいるろくでなし、と呼ばっていると言うことですかい。御隠居。」

『まー、率直に言えば、そう言うことになりますかね。』

「あのカカーのやつ、帰ったら、ぶっ飛ばしてやらねば。」

『まー、まー、そー興奮してはいけませんよ。まだ、節分につかったパチンコ玉入りの小マスがあるのでしょ。迂闊に行くと、あっさり返り討ちになりかねませんよ。』

「おーっ、そーだった。そーだった。あぶねー。あぶねー。」

『まー、「宿六」とは、そんな意味のようですが、なんだか、分からないところが多いですよ。

例えば、「宿」は、旅籠、旅館の意味ではなく、自分の家を指しているようですよ。

「六」は、数字では無く、「ろくでなし」の省略形だ、などと言われているのですよ。

自分の家なら、なんで「宿」なんて言う文字を当てたのしょうかね。「家六」と言えば良いじゃないですかね。なんでわざわざ「宿」を当てたのでしょうね。

また、「六」の方は、「ろくでなし」なら、一般的には、「陸でなし」と言う文字が当てられてますよ。だったら、「家陸」で良いじゃーないですか。ねー、六さん。』

「そーですだ。そーですだ。ドンドン言ってやって下せーよ。御隠居。屁理屈を。」

『えっ、何か言いましたか。六さん。』

「イヤイヤ、別になんでもごぜーませんよ。空耳でしょー。

それから、「陸でなし」つーのも、そもそも何なのですだ。御隠居。」

『まー、とぼけちゃって、「陸でなし」の方に話を持って行こうなんて、なかなか油断できませんね。六さん。』

「イヤイヤ、これも問題ですだー。「陸」がどうして、「六」になったのですだ。御隠居。」

『だいたい「六」がどうして、「ろくでなし」の省略形になるのですかねー。そんなこと言ったら、六さんはどうなります。六さんは、ストレートにろくでなし、と言う事になってしまいますよ。なんだか、六さんの奥さんが言っている事に、どんぴしゃりになってしまいますよ。ネエ、六さん。』

「御隠居。そー来やすか。参ったねー。ホント。

だいたい、「六」だけで、「ろくでなし」にどうしてなるだよ。それだったら「五」はどうなるだよ。「五」は、五でないと言う事ですけー。なら、幾つだよ。「四」はどうだ。四でねーのか。なら、幾つだよ。」

『言ってやんなさい。言ってやんなさいよ。六さん。だいたい、「六」一字で、「ろくでなし」の省略形とするのは、無理がありませんか。六さんを差し置いて。』

「御隠居。差し置いて、ちゅーのはなんだべ。ちょっとひかかるだよ。大体、「ろくでなし」は、「陸でなし」と言う字が、当てられるだぞ。ネェー、御隠居。」

『そうです。そうです。ごもっともですよ。六さん。』

「それが、「陸」がどうして「六」になるのだよ。「六」だけで「ろくでなし」なんて、「なし」はどうなってるだよ。「なし」は。「なし」がなければ、「六であり」か「六でなし」か区別がつかねーでねーですか。可笑しかねーかい。ネエー、御隠居。」

『良いとこつきますねー。さすがは、六さん。

普通は、「ろくでなし」は「陸でなし」と書きますよ。この「陸」が「六」に変身するには、ちょっと手間がかかりますよね。「ろく」なんて言う字は、「六」でなくても、録 鹿 禄 勒 緑などなど、他に、幾つでもありますからね。何で「六」に納まったのか、説明が必要ですよね。』

「そーですだ。そーですだ。何でアッシの「六」になっただよ。例えば、付録の「録」ならば、六さん十八とか、六六

三十六とか言われずに済むだよ。」

『そーです、そーです。言ってやんなさい。言ってやんなさい。屁理屈を。』

「御隠居、なんか言っただか。」

『いやいや、空耳でしょ。空耳。

そうだ。六さん十八、六六 三十六なんて言わせないためには、六さんが「六」の字を改めて、「録」の字にすればどうです。なかなかカッコ良いではありませんか。』

「なるほど、それもありか。「録」ねー、良いかもなー。」

『待って下さいよ。とすると、「付録の録さん」と言われ兼ねませんなー。』

「エーッ、アッシは、付録か。全く、油断がならねーな。あぶねー、あぶねー。危うく付録にされちまうところだった。

とにかく、「ろくでなし」の「ろく」が、どうして「陸」になっちまったのか、そして更に「陸」が「六」になっちまったのか、そのあたりの屁理屈をおねげーしますだよ。御隠居。」

『聞こえましたよ。聞こえましたよ。はっきりと。言いましたよね。屁理屈と。今度は空耳で、誤魔化されませんよ。』

「御隠居だって、言ったではねーですか。アッシだって、ちゃんと聞こえただよ。」

『それでは、五分五分と言う事で、引き分けですなー。』

「五分五分だなんて、問題は「六」の方ですだよ。御隠居。」

『そー来ましたか。そー来られては、だんだん本筋から、遠ざかっていきますよ。六さん。』

「御隠居。近道で、近道で行きやしょー。」

『それでは、出直して、そもそも、言葉として「ろくでなし」は、現在一般的に使われている「陸でなし」だったのですかね。とすると、「陸」は、どんな意味だったのですかね。』

「御隠居、アッシだって、「陸」くれーは知ってるだよ。あっちは海で、こっちが陸ちゅー、陸ですだよ。」

『そーですよね。それがどうして「陸」に否定の無しをつけて、良くない意味に使われるようになったのですかね。否定の無しが付かない場合は、良いと言う意味に繋がると言う事ですかね。六さん。』

「そりゃー、アッシら陸上の動物は、陸の方が良いですだよ。溺れるしんぺーがねーですから。」

『そー来ますか。それでは、お魚さん達はどうなります。海・川・湖・沼・水槽などの方が良いと言いますよ。』

「御隠居、いっぱい並べれば良いと言うものではねーですだよ。たとえ、屁がついても、理屈がなくてはダメですだよ。」

『と言うことは、屁理屈で良いと言うことですね。一歩前進ですね。六さん。』

「まー、この際、良いですだよ。アッシもその方がやり易いだよ。しかし、遠回りはダメですだよ。そろそろ短時間で決めて下せーよ。御隠居。」

『それでは、ズバリ行きますかね。

先に、六さんは「陸」を海に対する「陸」として持ち出しましたが、あの場合の「陸」は「りく」と読むのですが、「陸でなし」の「陸」は「ろく」と読むのですよ。』

「へー、そうですかい。ややっこしーでんな。ロクでもねー読み方をするものでやすねー。御隠居。」

『そー来ましたか。六さん。それでは、私も、』

「御隠居。悪かっただ。悪かっただよ。ご勘弁を。近道でおねげーしますだ。もー、チャチャを入れませんから。」

 

[お待ちどーさまでした。お茶が入りましたよ。]

「ちょっと、ちょっと、奥様。タイミングが良過ぎませんか。」

[早速、六さんのお手土産をいただきましょか。それにしても、似通った、紛らわしい名前ですね。]

「ヘエ、実はこれにはアッシが一枚噛んでますだよ。」

[あら、六さん、まだお煎餅食べていないのに。]

「さすがは奥様。そー来やしたか。御隠居、奥様がこう来てますだよ。遠回りで行くか、近道で行くか、どうしますだ。御隠居。」

『出来れば、近道の方でお願いしますよ。』

「それでは、寄り道は避けて簡単にめーりやすだよ。実は、駅前の和菓子屋の大将がね。これが、大のダジャレ好きなのですだよ。以前に、アッシが行った時に、新商品を作りたいのだが、何か、いー案は無いか、と持ち掛けられただよ。そこで、アンなら、そりゃー饅頭だべ、と言う事になっただよ。」

『アンだけに、饅頭といったのですね。』

「御隠居、こんな簡単なダジャレに、いちいち解説はいーだよ。」

『これは失礼いたしました。どうぞ先へお進め下さい。』

「そうしたら、大将は、内の饅頭は評判が良くてよく売れている、と言うだよ。それに比べて、煎餅の方がいまいちだ、と言うだよ。そこでアッシが一ヒネリしましただよ。」

[そーですね。あそこのお煎餅は、幾分ヒネリが入ってましたたからねー。そこで一ヒネリといったのですね。六さん。]

「奥様、こんな簡単なダジャレに、いちいち解説はいーだよ。」

[これは失礼いたしました。どうぞ先へお進め下さいませ。]

「それでは、饅頭と煎餅を抱き合わせにしてはどうか。と言う事になりやしてね。そこで、饅頭を上に乗っけたのが「饅頭煎餅」で、煎餅を上に乗っけたのが「煎餅饅頭」と言うところに落ち着いただよ。」

[まー、随分安直なところへ落ち着けたものですね。それだったら、私に相談すればよかったのにね。]

「奥様。何か名案がありますだか。」

[あそこの大福もなかなのものですからね。私でしたら、大福煎餅と煎餅大福といきますわよ。オホホホホ。]

「それでは、アッシと何も変わりがねーですだよ。奥様。」

[それでは、ごゆっくり。オホホホホ。]

 

「御隠居、オホホホホだって。メーッタな。奥様には、かなわねーだよ。」

『まー、同レベルと言う事ですよ。ククククク。』

「また、オホホホのホとクククのクでヤンすか。お仲のよろしい事で。」

『ところで、煎餅饅頭も饅頭煎餅も、同じ味がしますね。』

「あたりめーですだよ。これで、違ったら、オカシなもんでやすよ。」

『おっと、そーきましたか。。六さん。私は、本来遠回りが好きですからね。ヒマ潰しになりますので。』

「御隠居、頼むだから、遠回りは、ご遠慮下せー。」

 

『それでは続きをね。、近道でね。

「陸」と言う文字は、「ろく」と読む場合には、、「正常なこと、まともなこと』と言う意味で使われる、良い意味の文字なのですよ。だから、「陸でなし」の場合、「無し」の打ち消しの語をつけると、「正常では無い、まともではない」と言う、現在使われている「ろくでなし」の意味となるのですよ。』

「なーるほど、そーだったのですけ。一つ、りこーになりましただよ。それでは、「陸(ろく)」が、どうして「六」になったのですだ。」

『それはですね。私は知りませんよ。六さん。』

「知りませんよ。では、あきまへんで。御隠居。屁理屈で良い、と言う了解をしたではねーですか。屁理屈をどーぞ。」

『弱りましたね。私ゃー、歳を取っていますが、「陸でなし」と言う言葉が作られた現場に居合わせたことは御座いませんよ。だから、「ろくでなし」と言う言葉が先にできて、それに「陸」と言う字が後で当てられるようになったのか、どうか、そのあたりのことは、分かりませんよ。

ただね。「六」の字には、正常とか真面(まとも)の意味はないでしょうから、理屈としては、屁が着こうが着こまいが、「陸」の字が先で、それに後で発音が同じ「六」の字が当てられるようになったように思われますなー。「六」の方が、日常的に「陸」より馴染み易かったのではないのでしょうかねー。』

「へー、そーなんですけー。しかし、御隠居、それは御隠居らしい真面目な理屈で、あまり面白くねーですだよ。もっと、屁の付くおもしれーのをやって下せーよ。」

『屁の付くのですか。

ネットの情報の中には、「六」には「陸でなし」に通ずる意味があるとする主張もあるようですよ。その屁理屈が「甚六」の「六」だと言うのですよ。』

「なんです。その「甚六」と言うのは。」

『これはですね。「甚」は「はなはだ」と読みましてね、大層、非常にと言うような意味ですよね。そこで、これに「六」がくっつく訳で、大層な「六」となり、数字の「六」では意味不明ですよね。

しかし、一般的には、「総領の甚六」と言う形で使われているのですよ。惣領は、跡取りで、家を継ぐ人です。昔は、長男が継ぐ事になっていたのですよ。ところが、長男は次男以下と違って、幼少時から、親が甘やかせて育てる場合が多かったようで、結果、のんびりした、お人好しの反面我儘に育った、と言う事ですよ。それで、世間では、のんびりしたお人好しでありながら我儘なところから、そのような人格を「総領の甚六」と呼ぶようになった、と言われているのですよ。

この例から、「甚六」の「六」は、尋常から外れた存在と言う事で、「ろくでなし」につながる、と言うことのようなのですよ。しかし、ここで疑問なのは、尋常から外れることが、なぜ「六」に繋がるのか、と言う理由ですよね。』

「そーですだ、そーですだ。なんでいきなり「六」が出てくるだよ。「四」でも、「五」でも、「七」でも「八」でも、・・・「百」、「二百」・・・でも良いでねーですか。ねー、御隠居。」

『まー、「百」、「二百」になると、どーでしょーかね。前提が、長男との兄弟と言うことでしょうからね。精々一桁ではいけませんかねー。六さん。』

「そー言われたら、そーですだなー。100人だと、年子でも、100年かかるだなー。50人で50年か、こりゃーいくら頑張っても、アッシでは無理だな。やっぱり、一桁あたりかねー。ねー、御隠居。」

『ねー、なんて言われたも、そんなこと知りませんよ。精々頑張って、励んでみて下さいよ。

要するに、中には、長男と次男以下と言う区別をする中で、なぜか六男が次男以下の謂わば代表として出てきたように説明しておられる方もありますよ。よくは、分かりませんが、「六」には、「ろくでなし」の意味合いがある、と言う前提のようですよ。』

「御隠居。なんだか良く判らねー屁理屈のような感じがするだよ。結局、「宿六」の「六」と、「甚六」の「六」の語呂合わせではねーのですか。」

『六さんもそー思いますか。同感ですね。

「ろくでなし」の「ろく」が「陸」だとすると、「六」はその当て字ですから、「六」には、本来の「陸」の意味はありませなよね。ですから、「六」には、本来「ろくでなし」の意味が無いと言うことですから、「甚六」に結びつけるには、「六でなし」の省略形とする「六」が前提にあると言う事では無いのでしょうか。

ですから、「陸」が「六」に置き換えられて、「六」が「ろくでなし」の省略形と言う概念が作られて、これが「宿六」に繋がり、更に「甚六」へ繋げられ、「甚六」の性格が「惣領」に結びつけられて、「惣領の甚六」と言う事になったのでは無いのでしょうか。したがって、「惣領の甚六」は、日常使う言葉としては、ちょっと、手間暇がかかり過ぎていませんか。と言う感じがしますねー。』

「そーですだ。御隠居、どんどん言ってやんなせーよ。屁理屈に勝る屁理屈は、ねーだよ。ねー、御隠居。」

『六さん。なんですそれは。

それでは、屁理屈のついでに、もっと、分かりやすい屁理屈を披露しますと、私は、「ろくでなし」の「ろく」は、「禄」では無いのかなー、なんて、勝手に思っていたのですよ。

「禄」は、簡単に言ってしまえば、士官して得られる手当て、言うならば、今で言う給料のような性格のものですよ。

したがって、「禄でなし」と言うのは、士官しておらず、手っ取り早く言ってしまえば、就職しておらず、決まった給料をもらっていない、ぶらぶらしている存在の者を意味しているのでは、と思っていましたよ。

これだと、比較的分かり良いでしょ。「陸」だ、「六」だ、「六」は「ろくでなし」の省略形だ、「宿六」だ、「惣領の甚六」だ、なんて、無理と感じられる理屈をつけなくて済みますからね。ねー、六さん。』

「なるほど。こっちの御隠居の屁理屈の方が分かりはいーだよ。しかし、御隠居、世の中、そーは理屈通りには、行きませんだよ。捻じ曲げて、捻じ曲げて、なんとか、自分の都合の良い方に、持って行きたがる人が多いですだよ。」
『そーなんですよ。さっきだって、内の奥様、いきなり饅頭を自分の好きな大福にしょうとしましたよ。』

「そーですだ。あの調子だと、絹豆腐にだってされてしまい、絹豆腐饅頭に、饅頭絹豆腐にされちゃうかと、焦っただよ。」

 

《こんにちは。御隠居さん。いらっしゃいますか。》

 

『ハイハイ、お待ち下さい。

 

おー、これは、六さんの奥様。雨の中、よーこそ、いらっしゃいました。』

《失礼します。御隠居さん。内の宿六来てはおりませんか。》

『いらっしゃいますよ。今日は、手土産まで頂きまして。』

《ちょっと、宿六を呼んでもらえませんか。》

 

『ハイハイ 宿六さーん。奥様ですよー。

アッ いけない。間違えちゃいました。』

 

お疲れ様で御座いました。

またのお越しをお待ち申し上げます。

 

お後がよろしいようで。

「停念堂閑記」143

《停念堂閑記》143

 

「停念堂寄席」」80

 

「イタチごっこ

 

 

本日も、「停念堂閑記」に、ようこそお越し下さいました。厚く御礼申し上げます。 

せっかくお越し下さいましたが、ここでの話は、相も変わらぬ、毎度の代わり映えのしない、間抜けな話で御座います。

いくぶん具体的に申しますと、アホくさい、バカバカしい、クダラないと言う三拍子を兼ね備えた、行き当たりバッタリのアホくさい、バカバカしい、クダラない、要するに間抜けな話で御座います。

深刻にならないところが、取り得ですよ。

夜、眠れなくなったりしませんからね。

もー、すぐに忘れちゃっても、なんら問題は御座いませんよ。

 

なんちゅったって、目的がヒマ潰しですからね。

あるお方が申しておられましたよ。ヒマ潰しにすることは、須らくおよそアホくさいものだと。まさにその通りで御座いますな。間違いおまへん。

ところが、このアホくさいと思われる中から、凄い事が産まれる場合があるんだってさ。すごくタマにね。

しかし、アホくさい事は、紛れもなく殆どアホくさい事なんだそうですだよ。

間違い御座いません。《停念堂閑記》がそれを証明している代表的なものですだ。

 

定年後の御同輩、きっと、持て余しているのでは。

毎日のヒマを。

お互いに、持て余しているヒマを、なんとか、あの手、この手で潰さなくては、ならないのですよ。

しかしですね。これは、これで、なかなか。ケッコウ手間隙かかるのですよ。

手間隙かからなかったら、ヒマ潰しにならないだろうって、ですか。

その通り。至極、ご尤もなご意見で御座います。同感、同感で御座いますよ。

 

と言うことで、本日も張り切って、手間隙を惜しまず、たっぷり手間隙をかけて、連日のヒマと言う強敵に挑むことに致しましょう。

 

打倒、閑、暇、ひま、ヒマーッ!

A A O!  エイエイ、オー!

ヒマ潰しとは、申せ、些か次元の低い、掛け声ですなー。

情けねー! トホホ。

 

 

毎度バカバカしい話で、しばしのヒマ潰しにお付き合い下さいませ。

このバカバカしい話というのがですね、結構骨が折れるのですよ。

真面目な話は、大して骨が折れることはないのですよ。以前にね、言いましたように、他人がどう言おうと、小生は、真面目がスーツならず靴下を履いているような、ただただ真面目一方ですから、真面目な話は、ごく当たり前のことを言っていれば事すみますからね。簡単なのですよ。

これが、バカバカしい方はですね。当たり前のことを、淡々とと言っているのでは、ダメなのですよ。当たり前のことを、当たり前でなくとか、当たり前でないことを当たり前のようにですな、聞いている方をなんとか笑いに誘い込もうと、一捻りしなくてはならないのですよ。ここが、ヒマ潰しになるので御座いますよ。

これが、団扇(うちわ)ではなくてですね、センスの問題なのですよ。上手いこと笑わすには、それはそれは骨折する、いや骨が折れるのですよ。

しかしですね、所詮ヒマ潰しですからね、団扇もセンスも、骨折も、大して問題ではないのですよ。

ひたすら、ズーズーしくやる根性があるかどうかなのですよ。言い換えれば、真面目に取り組むかどうかの問題でして、その点、小生は、真面目がスーツではなく、靴下履いている様な存在ですので、大して問題がないので御座いますよ。幸いにですね。

そこで、ズーズーしく本日も、と言う次第なのですよ。

 

さて、本日は、「イタチごっこ」と言うのにチャレンジしてみたいと思うのですが、どうでしょうか。

と問いかけたところで、すぐに、返事を頂けるシステムにはなっておりませんから、結局は、こちらが勝手気ままにやっちゃう、と言うことですね。

しょっちゅう聞きますよね。「イタチごっこ」。今更、こんなことについて、どうのこうの言って見たって、どうなります。なんて、すぐに言われちゃうわけですが。これがですね。これが結構ヒマ潰しになりそうな気配を感ずるのですよ。

 

 それでは、参ります。

 

「御隠居、居留守ですかー。」

『なんです。六さん。いきなり、居留守ですかー、なんて。』

「ヘエ、アッシが御隠居の所に現れるのは、言うまでもなく、クダラネー相談の時なのですだよ。それで、御隠居も、良い加減ヘキエキしやしてね、モー居留守使っちゃおーかなー、なんて思うのでないかと、ちょいと先回りをしてみただよ。」

『そーですか。今日は、チョット捻りを入れてきましたね。まーまー、立ち話では、埒が明きそうにありませんから、どうぞお上がり下さい。』

「では、お邪魔いたしますだよ。」

『おばーさん、六さんですよ。お茶をお願いしますよ。』

[ハーイ、これは、これは、六さん、連日のお越しで、ご苦労様です。六さんも、やはり、ヒマ潰しに色々とご苦労なさっておられるのですか。おじいさんもね、毎日、ヒマ潰しに苦労しているのですよ。しかし、六さんが、いらしてくれるので、すごく助かっているですよ。今日も、よろしくお願いしますね。]

「ヘイ、アッシがお役に立てれば、明日も、明後日も、定期券を買ってでも、毎日参りますだ。奥様はヒマ潰しに、何かをなさっておられるんで。」

[私は、六さんのお茶受けを、今日は、何にしようかなーと、これが楽しみでしてね。いつも、頭をひねっているのですよ。それで、今日は、すり鉢に、ヒマの素のですね、味噌とゴマを入れましてね。これを擂粉木で、ゴリゴリとね。ヒマ潰しをしていたところですよ。]

「と言うことは、今日のお茶受けは、金目鯛の握りでも、おイナリさんでもなく、コンニャクの田楽ですかな。」

[惜しい、良いところつきますね。今日は、コンニャクではなく、絹豆腐にゴマ味噌を垂らして、絹豆腐田楽ですよ。]

「ヒェーッ、絹豆腐の田楽ですけー。」

[それで、六さん。角っこのお豆腐屋さんまで、絹豆腐を買いに行って来て下さいませんか。]

「奥さま、それだけは、それだけは、どーぞご勘弁下せー。

コンニャクならでーじょうぶですだ。絹豆腐はご勘弁を。」

[冗談ですよ、六さん。ちゃんと、絹豆腐は用意してありますから。それでは、少々、お待ち下さいませ。]

 

「ヒーッ、びっくりしたな。もー。

御隠居、奥さま中々やりますなー。御隠居より、はるかにセンスがありますぜ。キビシー、ですなー。さぞかし、御隠居も。」

『いえいえ、そんなことは、御座いませんよ。それより、六さんの奥方さま、まだ、節分のお面つけているのですか。』

「御隠居も、来ますなー。

ところで、御隠居。今日は、つまんねー事でやすが、「イタチごっこ」てやつについて、教えてもらいたくて、来たのですだよ。」

『今日は、イタチごっこですか。』

「へー、昨日、熊の処へ、ちょいとヒマ潰しに出かけましただよ。そしたら、なんと熊んとこの夫婦喧嘩の真っ只中に、行っちまっただよ。どうも熊の野郎がヒマ潰しに、昔遊んだブラモデルを部屋中いっぱいに、おっ散らかしたらしいのだよ。それを、熊のカミさんが、小言を言いながら、片付けたらしいのですだよ。そしたら、熊の野郎が、カミさんの隙を狙って、また、部屋中におっ広げたのだと。そしたら、また、カミさんが、片つけたのだと、そしたら、また、熊が・・・。と言う次第で、ついにカミさんが切れちゃって、いつまで、こんなイタチごっこやってられるかってんで、プラモデルを手当たり次第熊めがけて、投げ付け出しだだと。

そこに、アッシがヒョッコリと顔を出したもんだから、いきなり零戦が飛んで来やして、危うく直撃を食らうところだったのですだよ。」

『それで、それで、どうなりました。六さん。』

「御隠居、そんなに急かせないで下せーよ。御隠居。

そこで、アッシは、零戦をヒラリとかわし、たかったのだけれど、かわしきれずに、顔面直撃となりやしてね。

これではいけねー、と思いやして、落ちていたウルトラマンを拾うや、カミさん目がけて、スペシウム光線を、ビビビーっとね。」

『それで、それで、どうなりました。六さん。』

「そしたら、熊の野郎が、ゴジラを持って、ガオーッと火を噴きやがったのですだよ。」

『それで、それで、どうなりました。六さん。』

「御隠居、そんなに乗り出さねーで下せーよ。こんな話、好きでやんすか。」

『エー、そりゃーもー。ヒマ潰しにはもってこいで。』

「そしたら、カミさんが戦艦大和を出動させやしてね。ウルトラマンゴジラ戦艦大和が、三つ巴になりやして・・・。

御隠居、どこまでやらせるだよ。もー、朝っぱらから、めーったなー。」

『それで、結果はどうなりました。』

「結果ですけー。結果はこれですだー。」

『それですかー。さっきから、気にはなっていたのですよ。おでこのバンソーコー。御宅では、まだ、節分を続けているのですかー、なんて、思っていたのですが。そーではなくて。』

「そーなんですだよ。いきなり、熊の野郎、カミさんと組みしやがって、ゴジラ戦艦大和の連合軍に、虚しくウルトラマンがやられちまった、と言う事でして。面目ごぜーやせん。」

『それは、それは、災難でしたなー。で、六さんの奥様は、それで納得されたのですか。』

「それがですだよ。御隠居。家へけーって来て、バンソーコーを張り終わるや、例のパチンコ玉の入った枡を持って、飛び出そうとしたのですだよ。」

『そーでしょう。そーでしょう。そー来なくては、いけませんよ。ウルトラの妻の出番ですね。』

「御隠居、そんな、期待しねーで下せーよ。必死に止めたのですだよ。これ以上、大げさになると、全面、戦争になりやすから。そんなこんなで、アッシは、今後、パチンコはやらないと言う約束をさせられちまった、と言う次第なのですだよ。とんだトバッチリですだよ。」

『それは、お気の毒でしたねー。

それで、今日は、そのご報告に、おいでになった、と言う事ですか。』

「まー、それもあるだが、もう一つあるだよ。それは、熊の奥さんが、熊と揉めていた時に、「イタチごっこ」がどうのと言っていたのを思い出したのですだよ。それで、この「イタチごっこ」つーのをね、ちょいと教えて貰おうと、思いやしてね。」

『はー、ここで、「イタチごっこ」に飛び火するのですかー。これ以上、燃え広がらなければ良いですがねー。』

「どうです。御隠居。「イタチごっこ」で、ヒマ潰しと言うのは。」

『まー、悪くは御座いませんね。

では、早速ですが、六さんは、勿論、イタチはご存知ですよね。』

「それくれーは、存じ上げておりますだよ。でけーのも、知ってますだよ。オオイタチ。」

『なんです。そのでけーの、と言うのは。』

「御隠居だって知っているでしょ。オオイタチ。アッシの田舎では、秋祭りと言うのが、一大イベントでしてね。出店や見世物小屋が結構沢山並んでいたのですだよ。

綿菓子店、ヨーヨー釣り、金魚すくい、チョコバナナ、いろいろ屋台が出てましたよ。呼び名が何だったか、忘れちゃったけれど、丸い直径1メートル程のルーレット盤の様なものがあって、中央は平らで、周囲が5、6箇所に区切られていて、そこに景品が入れられいてるのですだよ。この盤が、手動で回る仕組みになっているのですだよ。そして、盤の中央に30センチほどの高さのヤグラが置かれていて、上にジョウゴの様なのが据え付けられていて、そこに、ビー玉を入れると、下の盤に落ちて、グルグル回って、どこかの景品のところに、ビー玉が入る仕組みになっているのですよ。ビー玉が入ったところの景品がもらえると言う仕組みですだよ。これが、良い景品のところには、中々入らないのですだよ。たいていは、スカで、飴玉1個とか、煎餅1枚とか、しょぼいところにしか入らないのですだよ。昭和の20年代後半の頃でしたね。アッシは、もっぱらこれにトライしましたね。いろいろ工夫しましてね。素直に、ビー玉をストーンと落とせば、間違いなくスカなのですよ。それで、ビー玉に回転を加えると良いぞ、と言う事になって、ビー玉を親指と中指で挟んで、思いっきり、ヒネって回転を加えて、ジョーロの口に落とすのですよ。これが、正解でしてね。アッシは、最も高いブリキの結構大きな自動車をゲットしたのですだよ。1回10円でしたからね。大儲けですよ。味を占めて、翌日やったら、また大当たりだったのですよ。調子に乗って、もう1回といったら、断られてしましましたね。もう、立ち入り禁止にされてしまいましただよ。」

『それは、すごいですね。それで、今は、もっぱらパチンコという次第だったのですか。

と言うより、それがイタチとどう関係がおありなのですか。』

「そーでしたな。お祭りには出店の他に、見世物小屋が来てましたよ。大掛かりなのは、やはりサーカスでしたなー。空中ブランコも、象の玉乗りとか、おどけたピエロとかね、結構盛り上がりましたね。他には、オートバイの樽回りだな。木の板で、結構大きな樽状のものが作られ、その内側をオートバイが横になって、走り回る訳で、これが落っこちないのですよ。日の丸を頭からかけたりして、目が見えない状態で、樽中をグルグルと回ったりするのですよ。時々、樽の上部まで上がってきて、飛び出てしまうか、とひやっとしたりしましてね。それから、人形劇もありましたね。岩見重太郎のヒヒ退治とかね。棒の先に人形がつけられていて、刀もくくりつけられていてね、棒が丸見えだったけれど、結構、面白かっただよ。

その他にですよ。にわか作りのテントの見世物小屋が建てられていて、木戸口に、「大イタチ」の看板を掲げたのがありましてね。木戸銭を払って入ったら、大きな板に赤いペンキが塗られていたのが置かれていて、これが、すなわち、大板血と言う訳でして、秋祭りは盛り上がってましたね。戦後、間もない頃は、こんなのが、年に一度の楽しみでね。学校も休みか、午前中だけだったりしましたね。中々のものでしたよ。

御隠居、これが大イタチですがな。」

『六さん、大分引っ張りましたねー。わかりましたよ。オオイタチ。』

「お祭りが終わっても、子供らはまだお祭り気分が抜けず、小さな板に絵の具で赤くして、これを引っ張って、走り回ったりしましてね。これが、イタチごっこてんでして。と言うのは、嘘です。そんなことは、しませんでしたよ。」

『六さんのイタチごっこは、創作ですねー。ヒマ潰しには、中々良い話でしたよ。』

「御隠居、本物の「イタチごつこ」の方を、おねげーしますだ。

イタチは、最後っ屁のイタチで、良いのだよね。」

『そうですね。毛皮のエリマキに使われたりするイタチのことですね。』

「御隠居、イタチは良いとして、「ごっこ」と言うのはなんですけー。」

『「ごっこ」は、難題ですなー。「こっこ」だったらねー。分かり易いのですがね。』

「なんです。その「こっこ」と言うのは。御隠居。」

『ニワトリとは関係ないですよ。北海道では、犬のこっこ、と言えば、犬の子、猫のこっこ、と言えば、猫の子のことですよ。広く言う時には、子犬、子猫も含める形で使っている様ですが。』

「そうすると、「こっこ」の前の「こ」が「子」なのか、後の「こ」が「子」なのか、「こっこ」が「子」なのかねー。御隠居。」

『六さん。細かく出てきましたね。私は、特に、国語学的に研究したことは、ありませんが、素人考えでは、前の「こ」が「子」に相当し、後の「こ」は、とくに意味を持たない、接尾語に相当するのかなー、なんて思っちゃったりするのですがねー。どんなものでしょうかねー。』

「御隠居、そのどーでしょうか、と言うの止めて下せーよ。アッシに言われても、どーにもなりませんよ。」

『そーですね。私だって、困っているのですから。

それはそうと、タラコと言うのがありますよね。ホカホカ御飯にタラコ、たまりませんなー。さっと、火で炙ると、また、風味が増しますよ。魚の鱈の卵を漬けたものですよね。

これを北海道流で言えば、鱈の卵は「鱈のこっこ」となる訳ですよ。また、「鱈のこっこ」が孵化して、小さい時も、「鱈のこっこ」の範疇に入りますね。

要するに、「鱈のこっこ」は、「鱈のこ(子)」で良いのですよ。これに、接尾語の「こ」が、くっ付いちゃうのでしょうな。

「こっこ」の形で、「子」に相当していると見ても、特に問題は無いようにも思われますがねー。詳しくは、国語学の専門家に聞いて貰えれば、解決することですね。ここでは、ヒマ潰しの材料でしか、御座いませんよ。』

「なんだ、ヒマ潰しですけー、御隠居。」

『ヒマ潰しにもう一丁行きますか。

北海道には、「ごっこ」と言う魚がいるのですよ。カサゴの一種とか。この魚の卵となると、これがなんと「ごっこのこっこ」ですからね。ごっこ鍋、ごっこ汁がうまい様ですよ。私はまだお目にかかったことが御座いませんがね。

子供の遊びになると、おママゴトでは、ごっこのこっこを使って、ごっこ汁とごっこ鍋を作ろうよ。てな会話になりそうですよ。

ヒマ潰しでした。「イタチごっこ」の「ごっこ」とは、なんの関係も御座いません。単なる、ヒマ潰しでした。悪しからず。』

「御隠居、「イタチごっこ」の「ごっこ」の方を頼みますよ。

「そっちの方ですかー。私だって、常日頃、「ごっこ」なんて、あまり考えてませんからね。でも、この「ごっこ」ってなにかなー、なんて思うことはあったのですよ。それで、今回、ちょっとねー。ヒマ潰し的に、ツッいてみたまでのことなのですがね。

ネットで検索して、チョコチョコと、拾い読みしたところでは、「イタチごっこ」については、子供の遊びの一つに、例えばA・B・Cの三人で、まず、Aが片方の手を甲を上にして差し出すと、Bがその甲の皮の部分を摘むのですよ。そしたら、次にCがBの甲の皮を摘むのですよ。そしたら、次に AがCの甲の皮を摘み、そのAの甲の皮を Bが摘む、と言う具合に、延々と続ける遊びらしいのですよ。実に、エンドレスですわ。それで、いつまでも同じことの繰り返しで、決着のつかないことを「イタチごっこ」と言う様になった、とか言うらしいですよ。』

「御隠居、同じことの繰り返し、と言うのは、分かったけんど、なんでそこにイタチが登場するのですだよ。」

『イタチだって、タマには、出たいと思うこともあるのでは無いですか。』

「そーきゃすか。御隠居。もう少し、ピリッとワサビの効いたのでおねげーしますよ。ホント。」

『失礼、失礼。これはですね。手の甲を摘む時に、「イタチ」「ネズミ」と、代わる代わる言いながら、摘んだと言うことらしいですよ。』

「へー、「ネズミ」も登場するのですけー。御隠居。としたら、なんで、「イタチ」と「ネズミ」なのですけー。」

『そりゃー、ネズミだって、タマには、出たかったんじゃー無いのですか。』

「また、ですけー。御隠居。頼みますよ。ホント。

なら、馬と鹿でもいーでねーですか。」

『イヤイヤ、それはダメですよ。そんな馬鹿なことを言っては。そんな大きい重い動物だと、手の甲に載せられ無いでしょー。手に余すのですよ。』

「御隠居、ここでダジャレですけー。」

『六さんが、馬と鹿なんぞと、誘導したくせに。』

「それでは、コオロギとキリギリスでは、どうですだべ。」

『そんな、似た様な例は、ムシしますよ。』

「また、御隠居、そんなダジャレを。」

『六さん、あなたがシムけるからですよ。』

「ダジャレは、一休みして、なんで、イタチとネズミが、「ごっこ」となるのですけー。御隠居。」

『イタチは、最近、都会では滅多にお目にかかることは、無いでしょうね。ネズミは、結構、都心の方にもいる様ですね。

この二匹の関係は、多分、イタチは、ネズミを追っかける、ネズミはイタチから逃げようとする、と言う関係にあったからなのでしょうね。

だから、次から次へと、手の甲の皮をつまんでいく時に、この追いかけっこが、遊びの掛け声として面白かったのでは無いのでしょうか。と独偏(独断と偏見)では、思うのですが。六さんは、どう思いますか。』

「言ったでしょう。アッシは、思わない方なのですだ。

まー、イタチとネズミの関係は、追う、逃げるの関係で、スピードをつけてやれば、ネズミが捕まっちゃったりして面白いかもしれねーが、これに「ごっこ」が付くのは、どうしたことですだ。」

『それは、多分、誰かが調子に乗って、「ごっこ」とつけちゃったのでは無いですか。』

「またまた、御隠居、頼みますよ。独偏で良いだから、それらしきことを、言って下せーよ。」

『らしきことですか。

ネットの情報によりますとね。「こうご(交互)」がなまって、「ごっこ」になったのでは、と言う説が紹介されていたましたよ。それ、イタチとネズミを交互に言いながら、手の甲の皮を交互につまんで遊んだ様ですからね。』

「本当ですかや。なんだか、御隠居みてーな、ダジャレの様な発想ですだよ。」

『さすがですね。六さん。私も何となくその様な気がしているのですよ。

だいたい「イタチごっこ」と言う遊びは、ネットでは、江戸時代からあった様に紹介されていましたが、どうでしょうね。何か根拠があるのでしょうかね。』

「そんなことは、アッシの知ったことではねーですだよ。ヒマ潰しに、御隠居が調べてみては、どーですだ。」

『だいたい、こうご(交互)がなまって「ごっこ」になりますかね。六さん、やってみて下さいよ。』

「アッシがですけー。では、行きますだよ。

こうご こうご こうご こうご こうご・・・・・

中々「ごっこ」には、ならねーだよ。御隠居、どこまでやれば良いだよ。」

『そーですね。短く見ても、三、四十年は、いや、五、六十年はねー。』

「御隠居、ジョーダンではねーですだよ。そんな長い間、御隠居のヒマ潰しにつき合えねーよ。」

『ご苦労様でした。「交互」が「ごっこ」に変身するには、中々時間がかかりそーですなー。

それからですね。「交互」が「ごっこ」に変身したと言うことは、初めは、「イタチ交互」だったと言うことになりますなー。

「イタチ交互」だったとすれば、子供の遊びの名称として、なんか固い感じがしませんか。

子供に「交互」は、あまり馴染まない気がするのですよ。「かわりばんこ」とか「かわるがわる」の方が、日常用語として、馴染みがありますよね。

そもそも、「交互」という言葉が、江戸時代の日常に子供の遊びに使われる存在だった様には、ちょっと無理があるのでは、と感じられるのですよ。』

「そうですだよ。アッシらは、もっぱら「かわりばんこ」ですだよ。」

『「交互」と言う言葉が、いつ頃から日本の日常用語として定着しだしたかは、トントと分かりませんが、これを突き止めるのは、大変な労力が必要ですよ。なんたって、昔からある書物をかたっぱしから、全部調べなくてはなりませんからね。私のヒマ潰しでは、到底、手に負える仕事では御座いませんよ。「古事記」とか「日本書紀』とか、利用者の多い書物は、ある程度索引が作られていますが、まだまだね。全ての書物についてはねー、手が回っるには、何年先になりますかねー。』

「御隠居そんなもの作る人が、いるのですけー。」

『利用度の高い書物については、かなり索引が作られてますが、まだまだですねー。

「交互」については、独偏では、明治になってから西洋の書物が日本に入ってきて、それを和訳する時に、色々と苦心したと思われるのですよ。そんな中で、「交互」と言う言葉が使用されだしたのではないかなー、なんて勝手に思ったりするのですよ。

例えば、「ライブラリー」と言えば、今は誰でも「図書館」だとわかっていますが、明治まで、日本には「図書館」と言う言葉はありませんでしたからね。「ライブラリー」をさあどう和訳したらいいか、と言う時に「図書館」としよう、と閃いた人がいたのですよね。』

「はー、翻訳は、テーヘンでんなー。そー言えば、今は、外国語をそのまま使うことが多いようで、電気製品を買っても、説明書が、外国語ばっかりで、アッシにやー、さっぱりわからねーだよ。」

『そーですね。説明書になってないものが多いですねー。ちんぷんかんぷんで。

どなたが、「交互」と言う言葉を使い出したのかは、知りませんが、たまたま「イタチごっこ」には、「交互」の概念が合うのでしょうが、例えば、「チャンバラごっこ」には、「交互」の概念は入り込みにくいですよね。「お人形さんごっこ」もね。

邪推すれば、誰か、きっとダジャレ趣味の誰かさんが、まさに、ヒマ潰しにですね。「ごっこ」に近い言葉はないかなー、なんて、たどり着いたのが「交互」だったりしましてね。』

「とすると、御隠居。昔、誰かは知らねーだが、御隠居みたいな人がいて、ダジャレで「交互」を「ごっこ」に結びつけた、チューことですな。」

『分かり良く言ってしまえば、そんなところでは、と思ったりしましてね。

またね。こう言う事情も、こじつけられはしないかとも、思われるのですよ。

と言いますのはね。仮にですよ。仮に、前に書いた様に「イタチ交互」が訛って、「イタチごっこ」になったとしますね。

これが、仮に、日常用語となって、一般的に普及した、としますとね。そーしている内に、「ごっこ」に「相互」の概念があろうがなかろうが関係なくなってしまい、子供の遊びに接尾語として、「ごっこ」が、くっつく様になってしまったんだとさ。と言う事情も考えられなくもないのですよ。』

 

「なるほど、屁理屈ですなー。御隠居。」

『へー、イタチだけにね。』

 

お疲れ様で御座いました。

またのお越しを、お待ち申し上げます。

 

お後がよろしい様で。

「停念堂閑記」142

《停念堂閑記》142

 

「停念堂寄席」」79 

 

「念には念を」

 

 

本日も、「停念堂閑記」に、ようこそお越し下さいました。厚く御礼申し上げます。 

せっかくお越し下さいましたが、ここでの話は、相も変わらぬ、毎度の代わり映えのしない、間抜けな話で御座います。

いくぶん具体的に申しますと、アホくさい、バカバカしい、クダラないと言う三拍子を兼ね備えた、行き当たりバッタリのアホくさい、バカバカしい、クダラない、要するに間抜けな話で御座います。

深刻にならないところが、取り得ですよ。

夜、眠れなくなったりしませんからね。

もー、すぐに忘れちゃっても、なんら問題は御座いませんよ。

 

なんちゅったって、目的がヒマ潰しですからね。

あるお方が申しておられましたよ。ヒマ潰しにすることは、須らくおよそアホくさいものだと。まさにその通りで御座いますな。間違いおまへん。

ところが、このアホくさいと思われる中から、凄い事が産まれる場合があるんだってさ。すごくタマにね。

しかし、アホくさい事は、紛れもなく殆どアホくさい事なんだそうですだよ。

間違い御座いません。《停念堂閑記》がそれを証明している代表的なものですだ。

 

定年後の御同輩、きっと、持て余しているのでは。

毎日のヒマを。

お互いに、持て余しているヒマを、なんとか、あの手、この手で潰さなくては、ならないのですよ。

しかしですね。これは、これで、なかなか。ケッコウ手間隙かかるのですよ。

手間隙かからなかったら、ヒマ潰しにならないだろうって、ですか。

その通り。至極、ご尤もなご意見で御座います。同感、同感で御座いますよ。

 

と言うことで、本日も張り切って、手間隙を惜しまず、たっぷり手間隙をかけて、連日のヒマと言う強敵に挑むことに致しましょう。

 

打倒、閑、暇、ひま、ヒマーッ!

A A O!  エイエイ、オー!

ヒマ潰しとは、申せ、些か次元の低い、掛け声ですなー。

情けねー! トホホ。

 

 

毎度バカバカしい話で、しばしのヒマ潰しにお付き合い下さいませ。

それでは、早い話が、何時もの行き当たりばったりの話と、何ら変わりはないですか、ってですか。

そうなのですよ。その通りなのですよ。何時も通りのバカバカしい話で、ヒマ潰しをしようと言う魂胆なのですよ。

それでですね。基本的には、何時も通りのバカバカしい話をと言う訳ですが、現実的なには、何か具体的な話題を設定しないと、進め難いのですよ。

 

と言う事で、本日の話題は、「念」と言う事にしたいのですよ。

如何なもので御座いましょうか。

何だか、訳の分からない話題でしょ。

そーなんですよ。こっちだって、わかってやる話では御座いませんよ。

兎に角、何かやらなくては、と言う状況で、捻くり出したのが「念」と言う事なのですよ。

どうなるかは、やってみなくては、分かりません。成り行き次第と言う事ですわ。

分かっている事は、何だか訳の分からない話でも、ヒマ潰しにはなる、と言う事なのですよ。

ヒマ潰しにさえなれば、目的達成と言う事ですから、日比憐休的には、納得と言う事なのですが、お付き合い下さる方の中には、ご迷惑と感じられる可能性があるのですが、その点をご理解の上でですね、お付き合い願えれば、と思いますので、よろしくお願いしますね。

なんて、グダクダ書いて、時間潰しをね、してる訳なのですよ。姑息でしょー。これが、ヒマ潰しのコツなのですよ。

書いているこちらはヒマ潰しになるのですが、これに付き合って下さっているお方もまた、実はヒマ潰しになっているので、何と、一挙両得なのですよ。めでたし、めでたし。

と言いながらも、面白さは、何にも御座いませんな。と言う事は、こんな事は、むしろ書かない方が良かった、と言える訳ですよ。

と言う事に気が付いてしまったら、これは、上に書いた事は、無かった事にして頂きたいと思う次第なのですよ。

たとえ、失言しちゃっても、前言取り消し、ってんで、責任は取らず、シャーシャーとしていられる日本ですからね。

どうなっちゃってるのですかね。

と言う事で、こちらだって、この際、サッパリと忘れていただき、頭をカラッポにしまして、本題の「念」に取り掛かりたいと思います。

 

どうして、「念」なのだ、ってですか。

それが、ハッキリとしていないのですよ。

まー、なんとなくなので御座います。

頼りないでしょー。

しかし、なんだか、ゴールを設定せず、目先の処理に手こずっている日本政府に似ちゃったりしては、面白く御座いませんからね。

一応はゴールを設定して進まなくてはね。

国民も分かりづらいでしょ。

だから、物事を実施するに当たっては、ちゃんとゴールを設定しておかなくては、進みようがないでしょ。

ゴールを設定せず、税金を投入し続けている政府は、ある意味凄いな、所詮、自分のお金では無いから、その場凌ぎで良いと言う事かな。

オリパラの競技も、ゴールを設定せずにやったら、どうなりますかね。

以前、選手には、ゴール地点を知らせず、とりあえず走らせておいて、途中で、実はゴールは、ココでした。と言う事で、順位を決める競技を見たことがありましたよ。しかし、これは、予めゴールは設定してあるのですよ。選手に知らせないだけでね。

それにしても、政府はどっち向いて走っているのかねー。分かり難いね。

「停念堂閑記」は、そんなことはしませんよ。ちゃんと、落ちは決めてあるのですだよ。念を入れてね。大した事は、御座いませんがね。

 

と言う事で、参りますよ。

 

「ご隠居 居るかい ?」

『これは、久しぶりですねー。六軒店の六さん。』

「いましたかー。あー良かった。御隠居。」

『どうしました。六さん。息をきらせて。』

「イヤー、御隠居が留守だったら、どーしょうかと、心配してたのですよ。居て良かったー。」

『えー、そりゃーもー、「新コロ」の自粛で、何処にも出かけず、ずーっと、籠っておりましたよ。それがどーかしましたか。』

「御隠居、節分はどーでした。無事乗り越えやしたか。」

『節分は、乗り越えるものですか ?  豆撒きをするものでしょー。』

「普通は、そーですだよ。それが、アッシの所は、そーでは無かっただよ。御隠居。」

『と言いますと、豆撒きはしなかったのですか。』

「ヘエ、それがパチンコ玉撒きでして。」

『エッ、パチンコ玉撒きですか。あまり聞いたことがございませんねー。珍しいことをしてますねー。』

「ヘエ、アッシも、今回が初めてでして。」

『どうして、パチンコ玉撒きなぞしたのですか。』

「聞いて下せーよ、御隠居。」

『ハイハイ、聞きますよ、聞きますよ。なにせ珍しいことですからね。どうぞ、おあがり下さい。』

 

「聞いて下せー、御隠居。

実は、節分の夕方、いっぺー引っ掛けやしてね、いい調子で、家に戻ったところ、なんと玄関にツノを生やし小さな枡を持った赤鬼が、仁王立ちになってたんでやすよ。

なんだこりゃ、と思いきや、もう、間髪入れずに、パチンコ玉が飛んできましただよ。

『突然、赤鬼が、パチンコ玉をですか。六さん。』

「実は、この間、パチンコへ行きやしてね。玉を少し持ち帰って、ちょうど、テーブルに出ていた小枡にコロコロっと入れておいたのですだよ。これを、ころっと忘れてたんですだよ。

それで、節分の夕方、ほろ酔い加減で帰宅したところ、赤鬼が、この「新コロ」の最中、パチンコに行っていたのかー、ってんでね。それで、いきなりパチンコ玉が、雨あられ、と言うことでして、そりゃー、もう、ダイズ豆と違って、痛いのなんのって、タマらず、逃げ出した、という次第なのですだよ。」

『なーるほど。それで、赤鬼に、パチンコ玉で、六は外ー、となったのですか。納得です。』

「御隠居、なに納得してるだよ。それどころでは、ねーですだよ。節分が終わっても、まだ、寒いのに、家に戻れねーだよ。それで、どう、言い訳すれば良いものかと、御隠居に教えてもらうベーと思いやしてね。どーか、おねげーしやすだよ。」

『そんなこと、お願いされても、私だって、節分が過ぎても、居座ったる赤鬼は苦手ですよ。』

「そこをなんとかと、おねげーしているだよ。」

『と言っても、まずは、飛んでくるパチンコ玉を防ぐ方法を考えなくてはなりませんなー。』

ソーダ、カサはどうだべ。カサで玉よけ、っうーのが、良いのではねーですか。御隠居。」

『そーですね。打ち止めにさせなくてはなりませんから、念のために、予備のカサも持っていった方が良いですね。もう2、3本。念には念を入れましてね。』

 

「ヌッ。念のため、念には念を ? ? ?

御隠居、よく聞きやすが、念には念を入れて、と言う、「念」とはなんのことですだ。それを教えて貰わねーと、念を入れろ、と言われても、何をどう入れれば、パチンコ玉を防げるのかわからねーだよ。」

『突然、「念」に乗り換えるのですか。六さん。」

「そりゃーもう、すぐに乗り換えますだ。なんら問題ねーですら。アッシは、思いついたら、次の停車駅で、すぐに、乗り換える質でやんすから。」

『電車の乗り換えは、関係ないでしょー。

それでは、念のために、こちらから、片つけましょうか。』

「念入りに、おねげーしますだ。御隠居。」

『それでは、念を入れて、始めましょうか。

日常生活においても、しょっちゅう「念」に関わる表現が飛び交ってますなー。人々にとって、「念」に関わる表現は、馴染み深いですなー。

ところで、「念」とは、どのような意味を持っているのか、と言う事について、改めて問われると、中々、簡単に答えることが、難しいところが御座いますな。』

「御隠居、なるべく簡単に、短めにおねげーしますだよ。長引くと、初めに聞いた事が、次々に忘れちゃいますので、切りがなくなるだよ。へー、手短にね。頼みますだよ。」

『そー簡単には、参りませんよ。手っ取り早く済ませちゃったら、ヒマ潰しにならないではないですか。思いつきバッタリで、ダラダラ引っ張らなくては、基本から外れてしまいますから、この点を忘れられては、困りますよ。』

「御隠居、ダラダラ引っ張るのなら、とにかく、面白くやって下せーよ。面白くないと、アッシは、寝ちゃいう癖があるのですだよ。小学生の頃、授業は半分イタズラして、半分は寝てましたからね。これでも、6年間で、無事卒業できただよ。

だから、時々、居眠りするけど、その時は、御隠居、話が面白くねー、と言うサインですだから。しっかり、頼みますだよ。」

『いきなり寝ないで下さいよ。頼みますよ。

それでは、参りますよ。

「念う」と「う」の送り仮名をつけると、これは「おもう」と読むそうですな。

普通一般的に、多くの場合は、「おもう」は「思う」の字を当てますなー。

「念う」はめったに使いませんな。』

「御隠居、どこが違うのですだ。」

『まだ寝てませんね。その調子ですよ。

どこが違うのでしょうかねー。六さんだったら、どこが違うと思いますか。』

「御隠居、わかってねーですな。アッシは、この手の事は、思わねー質なの。頼みますよ。御隠居。本当に。」

『これは、失礼おば致しました。そーでしたね。六さんは。思わない質でしたね。』

「御隠居、そんな、ダメ押しをしなくとも、いーだから、トットとやって下せーよ。」

『私にだって、「念う」と「思う」の違いなんて、良くは存じませんよ。大体は、その方の好みでは御座いませんか。私の独偏(独断と偏見の略語で使います。)では、「念う」を好む方は、何か、これに拘(こだわ)りをお持ちの方では御座いませんかね。どのような事情かは、色々でしょうがね。どちらかと申しますと、「念う」の方が、幾分堅い感じがしますが、どうでしょうね。』

「御隠居、どうでしょう、なんてやられても、アッシには、どうにもなりませんだよ。

アッシは、大体において、通常は、文字と関係の薄い存在ですだから。そんな事言われると、モジモジするばかりですだよ。」

『六さん。ここでダジャレで来ましたか。それでは、こちらも何か考えませんとね。』

「御隠居、考えなくて結構ですだよ。話が長引くから。」

『そうですか。では、ダジャレは後回しにしまして、「念う」も「思う」も、基本的には、心で感じた、気持ちに関する表現なのでしょうね。

どうも、「念う」の方が、重みと言いますか、熱心さと言いますか、より強い気持ちを表す時に用いられるような気がしますなー。独偏ですが。

「思い」の方は、あまり深くではなく、軽いその時々の気持ちを表す時に、使われる事が多いようですなー。独偏ですが。

それと、蛇足ながら、「思う」と同じ使い方をされるのに「考える」と言う表現が御座いますなー。

この違いは、と言いますと、「思う」の方は、簡単に言ってしまうと、あまり熟慮せずに、感じた事を表現する時に、すなわち、感覚的、感情的、情緒的な表現として、使われる場合が多いようですなー。

一方、「考える」の方は、色々と証明が伴ったり、理由の説明が伴ったりする場合に用いられる事が多いようですなー。すなわち、「考える」と言う方が、論理的、理性的な場合の表現のようですなー。』

 

「あのー、御隠居、大分調子が出てきたようでやんすが、そのような方向へ行くと、オラー、トローンとしてくるだよ。まちげーなく、寝てしまうだよ。オラの時間割には、休憩時間とイタズラ時間と居眠り時間しかねーだよ。このままだと、まちげーなく居眠り時間に、突入してしまうだよ。

御隠居、お一人で、どーぞ、ごゆっくり。お休みなせー。」

『チョツト、チョツト、チョット。六さん。それはないでしょー。「念」がどうとかと、言い出したのは、あなたでは御座いませんか。本当に、困った人ですね。

でも、こんな時の奥の手は、チャンと心得ているのですよ。

行きますよ。

六さん、鰻重が届きましたよ!』

「御隠居、鰻重でやんすか。肝吸い付きでやすか?」

『ホラホラ、一発でしょ。六さんは、鰻重に目がありませんからね。』

 

「ヌッ。御隠居、鰻には、目がねーのですかえ。アッシの見た限りでは、鰻には、目があっただよ。

中には、八つも目のあるやつもおりましたぜー。八目鰻。

あれは、物が皆んな八つに見えてるんですかねー。

一つの鰻重も、八個に見えてるんですかねー。

と言うことは、オラは六だから、8倍すると48人に見えてるのかねー。御隠居。すげーなー!」

『チョット、チョット、六さん。

あなた一人で何を盛り上がっているのです。

鰻重の話になると、途端に、目がパッチリしますねー。

その論理で行きますと、千鳥は一羽でも、1000羽と言う事になりますよ。』

「そー、きやしたか。御隠居も、結構飛ばしますなー。

1枚でも、センべイ、1個でも、マンジュウですだよ。」

『来ましたね、来ましたね。一番初歩的なので。

それを受けて、ヒネリますよ。

センジュのマンションでどうです。六さん。』

「御隠居、それでは、あまりシャキッとしてませんぜ。

オットット、あぶねー、あぶねー。危うく、ヒマ潰しに引き込まれるところだったぜ。油断ならねーな。

ダジャレは一先ず、おきゃしょー。

「念」をやって下せー、「念」を。この際、念を入れなくていいから、手短にね。御隠居。」

『用心深くなりましたね。六さん。

では、続きにしますが、「念う」は、動詞の形ですが、これが「念」一字となると、どうでしょうか。

意味としては、

1 思い 気持ち

2 配慮 注意 心配り

3 希望 希み

4 一心に思いつめること

5 決心 決断

そのほかにも、色々な意味合いで使われているようですな。

すなわち、使う人や使う状況によって、色々な意味を込めて使う、結構厄介な語のようですな。

だから、均(なら)して、このようです、と説明し難い特徴があるようですね。このような謂わば曖昧さを持っているので、「停念堂閑記」の題材となるのですよ。ヒマ潰しに、もってこいなのですよ。ですよね。六さん。』

「ですよね、なんて、アッシは、また、居眠り時間に入りますだよ。」

 

『そうだ、スッカリ、忘れいるようですが、問題は、六さんところのバチンコ玉防御対策が、そもそもの問題なのですよ。

結局は、こちらをどうするかが、最終的な問題ですから。どうします。六さん。』

「だから、とりあえずは、カサで防御と言うところまで行った時に、御隠居が、念には念を入れて、なんて言い出すから、「念」に行ってしまったのですだよ。」

『そうですよ。それで、「念」には「念」を入れて、と言う時の「念」は、「配慮 注意 心配り」と言った意味合いで、細心の注意を払わなくては、ならないと言った意味になるようですよ。と言うところまで来たのですよ。

そうしたら、・・・・』

 

[今日は。ごめんなさいよ。御隠居さん。]

 

『ハイハイ、少々お待ちを。

 

オッ、これはこれは、お珍しい。』

[六軒店の六の家内でございます。

ひょっとして、うちの宿六が、お邪魔しておりませんでしょうか。]

『宿をつけて良いかどうかは別としまして、六さんならおいでですよ。およびしますので、少々お待ち下さいませ。

 

参ったねー、どうも。まだ、作戦が出来上がっていないうちに。

 

六さん、六さん。先手を打たれてしまいましたよ。

奥さまが、お出でですよ。』

「ヒェーッ、来やがったか。まだ、怒っている様子ですかい。御隠居。」

『それは、もー。節分は、とっくに終わったと言うのに、まだ、赤鬼のお面をつけてますよ。」』

 

「御隠居、それは地顔ですだよ。」

 

『エッ、スッピンですか。

それでは、六さん、カサ、カサ、カサを用意しなくては。1本では、危ないですよ。2、3本持って行った方が良いですよ。』

 

「御隠居、念には念を入れてですかえ。」

 

どうも、お疲れさまで御座いました。

またのお越しを、お待ち申しあげます。

 

お後がよろしいようで。

「停念堂閑記」141

《停念堂閑記》141

 

「停念堂寄席」」78 

 

「腹話」

 

 

本日も、「停念堂閑記」に、ようこそお越し下さいました。厚く御礼申し上げます。 

せっかくお越し下さいましたが、ここでの話は、相も変わらぬ、毎度の代わり映えのしない、間抜けな話で御座います。

いくぶん具体的に申しますと、アホくさい、バカバカしい、クダラないと言う三拍子を兼ね備えた、行き当たりバッタリのアホくさい、バカバカしい、クダラない、要するに間抜けな話で御座います。

深刻にならないところが、取り得ですよ。

夜、眠れなくなったりしませんからね。

もー、すぐに忘れちゃっても、なんら問題は御座いませんよ。

 

なんちゅったって、目的がヒマ潰しですからね。

あるお方が申しておられましたよ。ヒマ潰しにすることは、須らくおよそアホくさいものだと。まさにその通りで御座いますな。間違いおまへん。

ところが、このアホくさいと思われる中から、凄い事が産まれる場合があるんだってさ。すごくタマにね。

しかし、アホくさい事は、紛れもなく殆どアホくさい事なんだそうですだよ。

間違い御座いません。《停念堂閑記》がそれを証明している代表的なものですだ。

 

定年後の御同輩、きっと、持て余しているのでは。

毎日のヒマを。

お互いに、持て余しているヒマを、なんとか、あの手、この手で潰さなくては、ならないのですよ。

しかしですね。これは、これで、なかなか。ケッコウ手間隙かかるのですよ。

手間隙かからなかったら、ヒマ潰しにならないだろうって、ですか。

その通り。至極、ご尤もなご意見で御座います。同感、同感で御座いますよ。

 

と言うことで、本日も張り切って、手間隙を惜しまず、たっぷり手間隙をかけて、連日のヒマと言う強敵に挑むことに致しましょう。

 

打倒、閑、暇、ひま、ヒマーッ!

A A O!  エイエイ、オー!

ヒマ潰しとは、申せ、些か次元の低い、掛け声ですなー。

情けねー! トホホ。

 

 

毎度馬鹿馬鹿しい話で、しばしのヒマ潰しにお付き合い下さいませ。

馬鹿馬鹿しい話ですがね、実のところを申しますとね、今回は、もしかしたら、馬鹿馬鹿しくないかも知れないのですよ。

ひょっとしたら、間抜けな話かも知れないのですよ。

これでは、同じか。

ね。トンチンカンな話でしょ。

所詮は、ヒマ潰しですからね。

馬鹿馬鹿しく無い話となりますと、真面目な話ですよね。

真面目な話は、前回やってしまいましたのでね。

連続では、またか、と飽きられてしまいますからね。

みなさんが、もう忘れただろうなー、と言う程の間を置きませんとね。

間抜けだなー、なんて思われてしまいますからね。

 

待てよ。「停念堂閑記」は、間抜けな話をモットーとしているから、間抜けな方が、良いのかな。

そうですよ。基本的には、間抜けで無くてはいけませんな。

 

よし、今日は、間抜けな話でいくぞー。

今日もでしょー、ってですか。

そのとーり。

なんて、つまらねーことを言ったりしましてね。

 

それでは、今日は、「腹」の話をする事にしますよ。

 

突然、「腹」かよー、って思うでしょ。

そうなんですよ。今日は、突然の「腹」なんですよ。

なんでか、と言いますとね、まだ夜中ですね。2時半頃ですわ。目が覚めちゃいましてね。これが、小生にとっては、実に中途半端な時刻なのですわ。これが、1時間後、3時半だったら諦めがつくのですよ。

何がってですか。朝まで、眠れなくてもですよ。これが、諦めがつくのですよ。

ところが、2時半だと、もう一眠りしなきゃ、と思っちゃうのですよ。

もう、1時間、ションベンが我慢できたらなー。なんてね。

これが、そうは行かないのですよ。大体、決まって2時半なのですよ。3時間あまりしか、眠っていないのですよ。あと1時間でも眠れたらなー、と思う日々なのですよ。

調子が良ければ、4時間あまり眠れたりしましてね。そしたら、ぐっすり眠れた感があるのですがねー。

一度目覚めると、寝つきが悪くてねー。

しようがないので、下らないことを、あれこれ考えるハメと相成る次第なのですだよ。

それが、今日は「停念堂閑記」のネタをどうしょうかなー、なんてボヤーっとしてましたら、突然で御座いますが、よし、今日は「腹」だな、とフイッと頭に浮かんだのですよ。

どうしてかは、全く分かりません。

なぜか、浮かんじゃったのですだよ。

おそらく半分寝ぼけていたのでしょうな。

半惚ジジーの脳みそのせいですだよ。

それで、目下、「腹」ネタに苦しめられている次第なので御座いますだよ。

なにせ、落ちが思い浮かばないのですよ。

腹のダジャレなんてね。

ヘソならね。ヘソで茶を沸かす、とか、へそ曲がりとか、なんかにこじつけて、なんとかなるかも知れませんが、「腹」ですからね。

ヘソは茶を沸かすけど、腹は滅多に茶を沸かしませんし、ヘソは曲がるけれど、腹は中々曲がりまへんで。「腹でコーヒー冷やす」なんて、わけ分からないしね。

 

こんな時は、とにかく、行き当たりバッタリで、進む他ありませんかね。

なんだか、ゴールを設定せず、目先の処理に手こずっている日本政府に似ちゃったりして、面白く御座いませんな。

やっぱり、一応はゴールを設定して進まなくてはね。

と言いながらですね、実は、本当はね、正直なところを申しますと、ちゃんとゴールを決めてあるのですよ。政府とは、ここが違うのですだよ。

ただね。ちゃんとゴールできるかどうか、テーマが「腹」だけに、ちょっと心配しているのですだよ。ハラハラしているのですだよ。

 

と言う事で、参りますよ。

 

「ご隠居 居るかい ?」

『これは、久しぶりですねー。八軒店の八さん。』

「さっそくで、恐縮だが、御隠居。これが、八軒店の八さんではなくなっちまったんですだよ。今は、六軒店の六さんてんでやんすだよ。」

『突然、何を言ってるのです。あなたは、どう見ても、八軒店の八さんではありませんか』

「それが、御隠居。今日から六軒店の六さんになっちゃったのですだよ。」

『えっ。引越して、改名したのですか。』

「へー、それが引越はしてねーんですが、人呼んで、八軒店の八さんが、二つ足りねー、六軒店の六さんになっちまったのですだよ」

『何です。その二つ足りないと言うのは。』

「よく聞いて下せーやした、御隠居。これには、深ーい事情がござんしてね。話すも涙、聞くも涙の、事情がね。」

『何です。その事情と言うのは。宜しければ、聞かせて下さいよ。』

「ヘイへイ。語らずには居られませんよ、御隠居。

実は、今を去ること、二日前、あのケチで有名な大家がね、富クジを当てたから、店子に奢ってやる、と言い出したのですだよ。しめた、久しぶりに銀座の金寿司にありつけるぞ、と思ったのですだよ。」

『ハイハイ、銀座の金寿司さんね。一流の老舗ですなー。』

「てっきり、金寿司の金目鯛の握り、とばかり小躍りしたのですだよ。」

『ハイハイ、金寿司の金目鯛の握り。どうでした。』

「それが、何と何と、横丁の角っこの豆腐屋の絹豆腐だと言うのですだよ。豆腐の握りなんぞ、シャレにもなりませんぜ。御隠居。」

『豆腐の握りですか。それは並の職人さんでは手に負えませんよ。絹豆腐の握りなんぞは、グチャグチャになってしまいそうですよ。』

「せめて、おイナリさんくらいには、とねばったのでやんすが、豆腐だと言って、引かないのですだよ」

『金目鯛の握りが、おイナリさんで、ダメでしたか。

しかし、それが何で、六軒店の六さんと関係があるのですか。』

「聞いて下せーよ。御隠居。それで、大家の奴、豆腐を8丁買って来い、と言いますだよ。それで、アッシが買いに行くことになりやしてね。」

『なるほど、八軒店だから、1丁ずつと言う訳ですな。それで、どうしました。』

「しょうがねーので、買いに行きやしたよ。買いに。そんでもって、豆腐屋に着いて、金目鯛の握り8人前あるか、と言ったところ、絹豆腐しかねー、と言いやがるのですだよ。

どうも、大家とつるんでるらしいだよ。

シャーがねーので、絹豆腐を8丁買いやしてね。その帰り道、6丁目の角っこで、いきなり、犬に吠えつかれて、不意を突かれて、豆腐を2丁落っことしちゃったのですだよ。6丁目の角っこで、満足な豆腐が、6丁になっちまっただよ。

その経緯を大家に話したら、大家の奴、なんて言ったと思います。」

『流石に、ご苦労様とは言わなかったでしょうな。』

「聞いて下せーよ、御隠居。

トーフも満足に買ってこれないのか。初めての、お使いじゃー、あるまいし。役ただず。だってさ。」

『なーるほど。』

「御隠居、納得してる場合じゃねーだよ。

そんでもって、2丁足りなくなったので、これからは、六軒店だ。お前も、2差し引いて、六だ。って言いやがったのですよ。御隠居。クヤシーっちゃーねーですだよ。」

『それで、八軒店の八さんが、六軒棚の六さんと言う訳で。計算は、あってますなー。』

「御隠居、何を感心してるだよ。

それで、アッシは、今日から六軒棚の六さんと言うわけでして。なりたてのホヤホヤ。」

『それは、とんだ災難でしたな。八さん、いや、なりたての六さん。ご感想はいかがなものですか。』

「御隠居、オラー悔しくってね。親にもらった末広がりの八という名前を、大家に潰れた豆腐と引き換えに、六だなんて、ロクでもねー名にされちまって、腹が立って、腹が立って、シャーがねーだよ。

と、その時、一つの疑問が、アッシの脳裏をかすめただよー。

「腹が立った」。何で腹が立ったのだ。腹は立つのか。と言う事は、立つ前は、座っている、と言うことか。腹は、立ったり、座ったりするのか。これは、問題だぞ。

と、まー、こう言う次第でして、この手の事は、とりあえず、御隠居に聞いて来ようと、思い立ちやしてね。そんで、やって来たと言う次第ですだよ。

へエ、それでですなー、玄関先の話としては、ちょっと込み入ってしまいそーなので、このあたりで・・・」

『これは、気が付きませんで、どーぞおあがり下さいませ。

おばーさん、久しぶりに、元の八さん、今は、なりたての六さんですよ。お茶をお願いしますよ。』

 

〈ハーイ、これはこれは、お珍しい。お久しぶりで御座います。

ところで、「元の八さん、今は、なりたての六さん」とは何の事で御座います。〉

『その点については、後ほどゆっくりとお話ししますから。とりあえず、お茶をお願いしますよ。』

〈ハイハイ、八さん、お茶請けは、甘いものと、しょぱいものと、どちらがよろしいですか。〉

「ヘイ、潰れた絹豆腐以外でしたら、何でも結構でやんす。」

〈あら、絹豆腐はお嫌いですの。〉

「ヘイ、絹豆腐は、嫌いと言う訳ではねーのですよ。しかし、これ以上はちょっとね。」

〈あら、何か訳ありのようですわね。〉

「ヘイ、2丁潰して、六にされちゃいましたので、さらに、2丁潰したら、六から四にされちゃう恐れがあるし、仮に6丁潰しちゃったら、もう、無くなっちゃって、0になって、アッシの存在そのものがね。ひょっとして、無くなってしまうのではねーか、と思いやしてね。」

〈計算は易しいようですが、何か深ーい事情がおありのようですね。

では、金目鯛の握りは、いかがでしょう。〉

「ヒエー、いきなり金目鯛の握りでやんすか。でー好きでやんすよ。金目鯛の握りは。しかし、金目鯛の握りが、ポシャッちゃって、絹豆腐を買って来て欲しいと言う展開になりますと、これが、どうも具合がねー。」

〈その辺りは、後でゆっくり聞かせて頂くとして、少々お待ち下さいませ。〉

 

『ところで、なりたての六さんの「腹」についてのご相談ですが、これには、よもや絹豆腐は絡んでないでしょうね。食べ過ぎて腹を壊したとか。』

「ヘイヘイ、それは大丈夫ですだ。「腹」の調子は、上々ですだよ。ただし、絹豆腐は御免蒙りますだよ。」

『それでは、木綿豆腐はどうです。』

「御隠居、豆腐からは、離れて下せーよ。「腹」でいきやしょー。「腹」で。」

『それでは、「腹」で参りましょう。なりたての六さん、』

「御隠居、「なりたて」は、もー、結構でやんす。スパッと六でおねげーしますだよ。」

『それでは、スパッとの六さん、』

「御隠居、勘弁して下せーよ。」

『ハイハイ、それでは、ただの六さん、』

「ただは、不要ですって。頼みますよ。御隠居。」

『六さん、それでは参りますよ。

まずは、基本的に「腹」とは何ですか。六さん。』

「だから、それを御隠居に聞きに来たのですだよ。御隠居。さっさと、教えて下せーよ。」

『「腹」とは、なにか、と言いますと、六さん、普段、中々こんな下らない事、考える人はおりませんよ。下痢気味の時には、ちょっと、考えたりしますがね。下らないようにするには、どうしたら良いかなー、なんてね。』

「御隠居、ダジャレになってねーだよ。しっかりして下せーよ。本当に、頼みますよ。」

『「腹」とは、人間や動物のですね、体の胴の下半部のことらしいですよ。』

「それっくれーの事は、知ってますだよ。それが、どーした、と言うのですよ。」

『だから、胴下、と言っているのですよ。

お分かり、頂けたでしょうか。』

「御隠居、ダジャレですけー。」

『それで、胴下の部分には、結構色々大事な臓器が内臓されているのですよ。

肝心なのは、肝臓、腎臓ね。それから大腸に小腸ね。中腸と言うのはあまり聞きませんなー。強いて、近いところでは、チュウスイと言われているのがありますがね。これは、モウチョイですなー。

その他、色々な内臓が収納されているようですよ。一つでも、無いぞー、となるとこれはえらいことですよ。』

「御隠居、また、ダジャレでやんすかえ。内臓が内臓されてる、って言うのは、やらないのですかえ。」

『そんな初歩的なのは、やりませんよ。私の「ダジャレ事典」

には、そのようなヘボいのは、載って、ナイゾー。』

「御隠居、テーして変わりはねーですだよ。」

『と言うようにですね、「腹」の体的な基本は、わかりましたでしょー。六さん。』

「へー、ダジャレ抜きだと、もっと早く分かっただよ、御隠居。」

『ダジャレは、心の栄養ですからね。人間には、体的な要素と心的な要素が、兼ね備わっていなければならないのですよ。六さん。』

「へエ、心ね。と言うーと、「腹」も「心」と関係があるのですかや。御隠居。」

『おーあり名古屋のコンコンチキですよ。六さん。』

「御隠居、何ですそりゃー。意味わからねーですだよ。」

『流石は、六さん。分かってらっしゃる。』

「分からねー、と言ってるだよ。御隠居。」

『だから、こんなのは、分からなくて良いのですよ。大して意味なんぞ、無いのですから。単なる調子づけですから。強いて言えば、これも、心の栄養に通ずるところがあるかなー。真面目な硬い話ばかりだと、疲れてしまうでしょ。なんちゃって。』

「御隠居、なんちゃっては、ねーでしょ。頼みますよ。本当に。話がこんがらかっちゃったではねーですか。」

『失礼、失礼。これは無かった事にしましょう。さー、無くなりましたか。六さん。』

「こんなの最初から、ありませんよ。カラッポ、すっからかんのカラッポですだよ。」

『流石、流石。新しい事に取り組む時は、頭、すっからかんのカラッポが一番ですよ。余計な、知識は無い方が、早く結論に到達としますからね。

では、改めて「心」と「腹」の関係についてですが、これは確かな事は、私も知りません。私は、ウソを申しませんよ。

どこぞの政党の国会議員さんのように、最初っから見え見えの嘘をついてね。後でバレバレ。カメラの前で、最敬礼させられるハメには、なりたく御座いませんからね。』

 

 ※ ここで一句。

   最敬礼の 上で胸張る スカ総理

  (解説 「新コロ」自粛宣言の最中に、某政党の議員が、

     銀座のクラブをはしごしていたのがバレちゃって、   

     メディアのカメラの前で謝罪の最敬礼をしていた、

     その背景に総理のポスターが貼られていた、と言

     う状況だったのです。)

 ※※ オマケのもう一句。

   銀座のクラブ 銀座のステーキに 叱られた 嗚呼!

 

「ヘエ、その点は、アッシも正直者で通ってますだよ。嘘はつきませんよ。たまーにしかね。ねっ、正直者でやんしょ。

それはともかくとして、とっとと、「腹」と「心」の関係をやって下せーよ。御隠居。」

『アー、そーでしたね。私も良くは存じませんがね。昔から、「心」は、体のどの辺にあるのか、気に掛かる人がいたようなのですよ。今はね「心」は、心臓、胸の辺りにあると思っている人が、多いのではないでしょうか。ハート型の「心」ね。

それが、いつの頃か定かでは御座いませんが、昔は、「心」はなんと「腹」にあると、思われていたらしいのですよ。

それでですね。「心」の動き、在り方などを「腹」と言う表現で行う習慣ができたのではないのか、と勝手に思っているのですよ。』

「へーソー、ヘソのあたりに「心」がねェー。」

『ダジャレですか。六さん。』

「いやいや、偶然ですだよ。偶然ですだ。」

『と言う事でしてね。

腹が立つ

腹を据える

腹を括る

腹を決める

腹を割る

腹をさらす

腹が煮え繰り返る

腹を見抜かれる

腹が捩れる

自腹を切る

腹這い

腹クソ悪い

腹んばい悪い

腹いせ

腹黒い

太っ腹

私腹を肥やす

片腹痛い

向っ腹

腹八分

腹芸

等々の表現がなされるようになったのでは、ないのでしょうかねー。』

「となると、「腹」も状況に応じて、なかなかご多忙ですなー。

オラは、もっぱら、減る方ですだよ。

腹減ったー、って、しょっちゅう言ってますだ。」

 

〈お待ちどうさまでした。お茶が入りましたよ。八さん。お茶請けは、おイナリさんにしましたよ。〉

「ヒエー、おイナリさんですケー。」

〈あーら、八さん、おイナリさんはお嫌いですか。〉

「いえいえ、好物ですだよ。どちらかと言えばは、大好物の方でして。ヘイ。」

〈だったら、どうして、ヒエー、なのですか。〉

「先ほどは、金目鯛の握りの話が出たでしょ。それが、今度はおイナリさんと来たら、次は、絹豆腐と来られると、ちょっとね。」

〈あら、八さん。絹豆腐がご所望ですか。それなら、ちょっと切らしておりますので、角っこのお豆腐屋さんまで、行ってきてもらえますか。八さん。〉

「ヒエー、ヒエー、それだけは、どうか御勘弁を。」

 

どうも、お疲れ様で御座いました。

またのお越しをお待ち申し上げます。

 

お後がよろしいようで。